2005年1月9日
被害軽減への備え1. 市民主導の「耐震補強フォーラム」を設立しよう。既存建築の耐震診断と耐震補強は、切迫する首都直下地震の建物被害を軽減 し、市民の命を守る上で決定的に重要な対策です。安価でも効果が高い補強工法を開発し普及するために、市民と民間が主導する「耐震補強フォーラム」を 立ち上げ、耐震補強を強力に推進しよう。 2. 耐震診断は建物所有者の社会的責任であるというルールを確立しよう。1981年以前に建てられた建築物は公共施設、民間施設、住宅も全て、市 民及び公共団体を含む所有者の社会的責任において耐震診断を行うルールを、社会的に確立しよう。 3. 基盤整備されている市街地では、地震対策の基本として耐震補強を急ごう。市街地基盤として幅員4m以上の街路が整備されている市街地では、既存建 物の耐震診断を早急に行い、必要な建物には「耐震補強を急ぐ」べきです。 4. 基盤未整備の密集市街地では、耐震補強も防災まちづくりとして促進しよう。4m未満の道路に老朽木造住宅が密集している市街地では、最低限の街路整 備を含む防災まちづくりによって耐震補強・建物更新を推進するための公的支援を、「事前復興事業」として導入し、従来よりも高い補助を講じるべきです。 5. 税制や保険制度など耐震補強を促進させる社会システムを整備しよう。個人の住宅やライフライン施設を含む民間施設における耐震補強がもたらす効 果の公益性を考え、税制面や保険制度でインセンティブが働くように社会システムを整備しよう。 災害対応への備え6. 昼間とは異なる夜間の災害対応活動に備えよう。阪神・淡路大震災では明るい昼間に緊急対応を行うことができましたが、中越地震では緊急対応は夜間の暗闇で行い、困難を極めました。情報収集から救出救助などの災害対応を夜間に行うことの困難さに、改めて注意し、いかなる 事態にも対応できるように備えよう。 7. 帰宅困難者対策の基本である安否情報システムを確立しよう。首都圏では、650万人を超える帰宅困難者の発生が危惧されます。帰宅困難 者が被災地に留まり、事業所の業務継続や災害ボランティアとして地域での災害対応活動に寄与できるように、安否情報を確実に把握できる情報システムを確立しよう。 8. 事業者と市民が連携して、都市インフラ対策を充実させよう。市民の命を守り、被害の拡大を防ぎ、首都の機能を確保していくために、上下水道やガス、電気などのライフラインとともに、鉄道、道路の機能確保と早期復旧を実現しよう。そのためには、市民が自分たちの身の回りの都市インフ ラについて共に学び、事業者と連携して補強や整備の優先順位と数値目標を明 示し、都市インフラの耐震補強と災害対応策を充実させよう。 地域・市民の取り組みの重要性9. 小学校・中学校・高等学校における防災教育を拡充しよう。地域の防災力の向上には、学校教育における地域防災への取り組みが重要です。小学校・中学校・高等学校における防災教育の一層の拡充を、市民と教育の現場や専門家が連携して推進していこう。 10. 地域の絆づくりを拡めよう。「地域のまとまり(地域の絆)」は、災害を乗り越える力であるとともに、また災害に強いまちをつくる力でもあります。平時に地域での多様な市民活動を活発にし、地域の絆づくりを拡め、それを基礎に地域の防災活動を活性化しよう。 11. 「楽しく防災する」活動の輪を広げよう。災害に強いまちや地域を形成し持続させるためにも、市民・企業・行政・学 会は知恵と工夫を持ち寄って、「市民が楽しく防災する」民間パワーを結集し、活動の輪を広げていこう。 12. 学会は市民と連携して防災科学技術の実践をめざそう。学会など学術・専門団体は、まちや地域における地震防災の実現に寄与するため、市民が主体的に進める多様な防災活動とも連携して防災科学技術の実践をめざそう。 |