2008年11月1日更新

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「第2回 日本耐震グランプリ」受賞者応募内容


 入賞されたみなさま、おめでとうございます。日頃の素晴らしい活動に心から敬意を表します。

 惜しくも選に漏れましたみなさまには、大変申し訳なく思います。決してその活動レベルが低いということではなく、十分に立派な活動をされてはいるものの僅差で賞を逃したというのが正直な感想です。

  日本耐震グランプリは、来年も継続して実施します。ぜひ、さらに成果をあげられ再度挑戦されますことを心から期待いたします。

選考委員長 首都大学東京教授 中林 一樹


内閣総理大臣賞(グランプリ)


「世代継続する地震に強いまちづくり」支援活動
(東北工業大学「地域安全安心センター」・(社)宮城県建築士会)

【取り組み内容】

■「世代継続する地震に強いまちづくり」について
1.目的

 若者参加型防災組織を構築し、住民全員(若者も住民の1人)で地震に強いまちづくりを行う。

2.若者参加の理由

 若者の参加は地域防災活動を活性化させる。防災活動の世代継続が可能となる。

3.構築方法

 ステップ1、ステップ2、ステップ3の順で構築。

ステップ1
 学校の防災教育から始める。授業に木造住宅の耐震診断を採用。対象は中、高校生。授業を行った生徒数はすでに1万人を超えている。東北地方中心であるが、最近は東京でも行っている。
ステップ2
 学校で学習した木造住宅の耐震診断を共通知識として若者(中、高校生)と大人の会話を促進させ、若者参加型防災組織の構築を行う。
ステップ3
 若者参加型防災組織が構築されれば、若者と大人が相談して、様々な活動を組み合わせながら「世代継続する地震に強いまちづくり」を行う。

4.実施組織

 事務局は東北工業大学「地域安全安心センター」、(社)宮城県建築士会の2箇所に設置。講師の派遣、教材の開発、製作などの業務は事務局が行っている。「世代継続する地震に強いまちづくり」の指導は事務局の他に宮城県建築物等地震対策推進協議会(会長田中礼治東北工大)の協力を得ている。

■耐震診断・耐震改修の面的促進への活用
1.面的促進の必要性

 促進活動が全国で行われている。しかし、促進の進捗状況はさほど良好でないといわれている。促進を増進するためには、促進を面的に展開する必要がある。

2.面的促進を増進する因子の分析

 仙台市の耐震診断・耐震改修の補助事業のデータをもとに分析した結果、面的促進を増進する因子として、地域防災活動の活性化が重要であることが判明した。

3.面的促進への「世代継続する地震に強いまちづくり」の活用

 「世代継続する地震に強いまちづくり」の基本は、若者参加型防災組織の構築にある。若者の参加は、地域防災活動を活性化させる。面的促進に「世代継続する地震に強いまちづくり」が活用できる理由はそこにある。

4.面的促進への「世代継続する地震に強いまちづくり」の効果の検証

 例えば、宮城県松島町では地域防災計画のなかに「世代継続する地震に強いまちづくり」を導入し、町をあげて促進活動を行っている。
  また、仙台市八木山地区では、「世代継続する地震に強いまちづくり」をベースに八木山防災連絡会を設置し、面的促進運動を住民が中心となって展開している。
  さらに、仙台市では、毎年耐震診断、耐震改修の補助事業を行っているが、「世代継続する地震に強いまちづくり」に賛同して、中学校で防災教育を行った地区では補助事業数が多いことが判明している。様々な形で効果が見られる。

5.面的促進を若者が引き継ぐ

 「世代継続する地震に強いまちづくり」は、学校の防災教育から始まる。授業に木造住宅の耐震診断を採用し「家」の大切さを教えている。
  地震で「家」を失ったら次の日からホームレスになることを知ってもらう。ホームレスにならないようにするには、耐震診断、耐震改修が重要なことを教える。中学生は十分理解できることが判明している。
  「家」の重要さを知った若者は、若者参加型防災活動を通して面的促進を次世代に引き継いでくれるものと確信している。

【今後の取り組み】

  1. 仙台市の耐震診断・耐震改修の補助事業の促進
      仙台市は、毎年耐震診断700棟、耐震改修300棟の補助事業を行っているが、次年度は、本支援活動を活用して耐震診断・耐震改修をより促進させるよう共同作業を考慮中。
  2. 全国への発信
      「世代継続する地震に強いまちづくり」支援活動は、宮城県内を中心に行ってきた。近年、県外からの指導要望が多い。そこで、全国の方々の要望に応えるために、次年度から全国へ発信する予定である。
  3. 支援活動組織の拡充
      宮城県内の支援活動は、現在主に東北工業大学「地域安全安心センター」(センター長 田中礼治)、(社)宮城県建築士会「世代継続する地震に強いまちづくり委員会」(委員長 田中礼治)が中心となって行っている。次年度からの全国展開に向け、全国対応型の組織に拡充をする予定。

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木造伝統構法による耐震改修実例とその普及戦略
(NPO法人 彦根景観フォーラム)

【取り組み内容】

■ NPO彦根景観フォーラム

  NPO彦根景観フォーラムは、2003年の日仏景観会議in彦根を契機に、美しい自然景観と近世以降の歴史的遺産を持つ彦根およびその周辺地域景観を守り、未来に向け働きかけることを目的に設立しました。

 安全・安心と歴史的街並み保存をと共に、地域の連携まちづくりを総合的に実践するために、防災・耐震・まちづくりフォーラムおよび分科会の木造伝統構法彦根研究会として活動しています。

■ 防災・耐震・まちづくりフォーラム+木造伝統構法彦根研究会

  2005年年度、京都大学の丸谷浩明教授(当時)と防災・耐震の地域アンケートを行いました。
  花しょうぶ通り周辺地域の約350世帯に対して、約40%の回答を得ました。

 耐震診断は39%が受けたいというのに留まっており、面倒であると言うものもあり、一方、「身近に耐震改修実例があれば」という意見がありました。

 滋賀県は新耐震基準をみたしていない1981年以前の建物が10万棟もあります。
  実際に県内で耐震改修されたのは、ここ5年間で50棟余りにすぎません。

 2006年度、内閣府の事業により、防災・耐震・まちづくりフォーラムを開催し、4回のフォーラム、3回のワークショップを行いました。 フォーラム成果としては、

  1. 彦根市は防災・耐震に対する「地域再生計画」を策定
  2. 滋賀県では防災のポータルサイト開設
  3. 造園協会と滋賀県災害初動時に重機出動の防災協定締結

というものでした。


滋賀県立大学生・滋賀県立彦根工業
高校生・市民・行政、1ヶ月100人の参加

  ワークショップでは、60年代の防災街区ビルのコンクリート柱6本(1階部分)をSRF耐震補強し、実例を市民に見てもらいました。

 2006年から分科会の木造伝統構法彦根研究会を開催し、彦根には古い木造伝統構法の建物が多い事から、研究会としての活動拠点でもある「寺子屋力石」において木造伝統構法の耐震改修実例を作る事としました。
  江戸時代から寺子屋としての記述があり、約250年前の建物と言われています。現代の寺子屋としても多くの人の集まる場所の安全・安心の確保も必要です。

  2007年10月に、棟梁の指導を受け、1ヶ月100人のボランティア(写真参照)により耐震改修工事を行いました。
  専門家と市民が一緒に活動し、実例を見ることにより、市民の方々に自分の家の耐震対策をたててもらいたいことと、非常・日常を問わず、心やコミュニティを繋ぐことになると考えました。

■木造伝統構法 耐震改修のポイント

  木造伝統構法彦根研究会では、鈴木有・金沢工業大学名誉教授の監修のもと、地震に粘り強く耐える伝統民家の特徴を最大限に引き出す耐震改修の方法を、3つの基本方針と5つの指針にまとめました。
  その中で、斜材(筋交い)は使ってはいけない事、大事な柱には壁を作る事等を指針としています。


耐震改修前と耐震改修後の内部

  歴史的建物を耐震改修することは、命を守ると同時に地域の文化を守ることで、建物を長寿命化することは、環境建築としての重要項目です。日本各地の歴史的街並みを守る為にも成果を公表していきます。

【今後の取り組み】

 古民家トラストを立ち上げ、足軽屋敷群の「辻番所」の買取(その後市が買取、文化財として仮耐震補強中)。多賀町にある一円邸(江戸時代)の実測調査ワークショップを開催し、「里の駅」とし、まちづくりと防災・耐震化を同時に進めています。

  自宅の耐震改修をという申し出や質問がすでにあります。耐震に対する構造計算の法律的な問題、資金的な問題をクリアできる基準づくりについて、国や地元自治体への働きかけを始めています。 木造伝統構法の構造計算である限界体力計算においては、行政も理解していないことが多く、県、市町村の行政担当者講習会での講師も行ってきましたが、さらに継続します。

一般建築家も、理解なしに耐震改修していることが多いので、問題点を広報し、各地での歴史的建物、景観の保存に役立ててもらいます。

  耐震壁とする木格子について、縦横部材寸法の各種組み合わせによる強度実験を繰り返し、部材寸法・仕様をデータ化して公表します。

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優秀賞

環境と耐震に配慮した「ア・ラ・イエ」のリファービッシュ住宅
(東京急行電鉄株式会社)

【取り組み内容】

 「ア・ラ・イエ」のリファービッシュ住宅は、東急線沿線の中古住宅をリフォームし、所有者(個人)の販売をサポートしている。

 通常、木造一戸建て1棟(35坪相当)を解体すると約105立方メートルの産業廃棄物が発生するが、「ア・ラ・イエ」によるフルリフォームではおよそ70%削減の31立方メートルで済む。産業廃棄物を減らすだけでなく、構造体を再利用することにより、新しい建材の使用量の削減にもつながっている。


中古住宅のフルリフォーム
「ア・ラ・イエ」

 中古住宅のフルリフォームにより個々の住宅の再生を図りながら、確実な耐震補強による住まいの安心・安全とともに、街並み全体の維持・保全を目的としている。

 当社が長期的な視点でこのような事業を行うことにより、住民の方が長く安心して暮らせる街となり、沿線・ブランド価値の向上となる。

※ ア・ラ・イエ:新しい家・改める家という意味の造語
※ リファービッシュ:磨きなおす・一新するの意

■東急線沿線地域の地震災害の軽減に資するため、木造SRF工法の特許を有する構造品質保証研究所(株)と本年3月に業務提携並びに東急ライフィア社を経由した資本提携を実施し、耐震補強の迅速な普及を目指す。

■耐震補強による建物の長寿命化、現行の建築基準法に適合する耐震基準を満たす補強を実施し、<耐震基準適合証明書>を取得する。この証明書は耐震性能を証明するだけでなく、税制優遇の適用をも可能にする。

■ア・ラ・イエでは耐震補強を様々な手法により実施している。
 金物による補強、新規筋交いの設置や柱・梁による補強を中心に、制震装置(GHハイブリッド)の導入や木造では従来補強の難しかった基礎や木材の接合部分補強を可能にする新工法(SRF工法)の導入により、先進的な構造補強をリファービッシュ物件に実施している。


ア・ラ・イエで実施される様々な耐震補強の手法

■ア・ラ・イエ施工実績70件(2005.4〜2008.10)

■ア・ラ・イエのリファービッシュ住宅は、スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存建物の再利用により環境への負荷を軽減し、機能性とデザイン性をもとに新築を超える付加価値を生み出そうとするもの。


趣のある玄関の庇や屋根瓦はそのまま利用。建物の形を変えず、新築同様に

■事前の建物調査をクリアーした物件のみがア・ラ・イエのリファービッシュ住宅になる。
  建物については、事前に検査を実施し、床下・屋根裏等の状況の調査をする。その検査をクリアーした物件だけを厳選し、かつ十分な構造計算に基づき、補強工事を実施する。
  すべての物件がア・ラ・イエになれるわけではない。建物調査の結果によっては建て替えをおすすめしている。

【今後の取り組み】

■SRF工法がツーバイ工法での実験でも成果を挙げてきたことを踏まえ、売主・買主のメリットとなる建築コストの低減、とりわけ「耐震補強工事費」の低減を図るため、従来の金物主体の工法からSRF工法の併用に全面的にシフトしていく。

■SRF工法をリフォーム物件のみならず、そのメリットを一ランク上の安心に結び付けていくために、木造新築物件にも採用していく。 (年間目標100件)

■SRF工法を中心とした木造耐震補強工事の施工協力業者を育成して地域ぐるみでの耐震化を推進していく。 (年間目標100件)
  マンション1棟リフォーム物件についてもSRF工法を採用し、東急沿線地域での地震災害の軽減促進に努めて行きたい。

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「かぐてんぼう隊」&「おしゃべり隊」で地域コミュニティづくりを目指した家具類転倒防止施工の取り組み(わがやネット)

【取り組み内容】

 本活動は、家具類の転倒防止対策推進活動として、平成16年12月に第一期「かぐてん防隊」養成講座を開催した。

 参加者は、大学生及びわがやネットの会員。
  所属や職種については、大学生は学内ボランティア協議会のメンバーで建築学科や法学部などの学生で、わがやネットの会員は、福祉住環境コーディネーター取得者で、福祉、医療、建築関係者などで構成されている。

 

 「かぐてん防隊」第一期生による施工キャンペーンでは、天白区平針北学区の民生委員会と協働で開催した。

 開催期間は、平成17年1月17日〜10日間、26件を施工した(大学モデル)。
 この活動がNHK名古屋放送局「生活ほっとイブニング」に報道された夜、愛知県内の住民から問い合わせが100件近くあり、1月から12月までに103件を施工した。しかし、ニュースの反響の大きさから家具固定の施工の必要性を実感したと同時に、地域に根ざした活動にすべきだと、今後の展開を考えるきっかけとなった。
  この頃、「かぐてん防隊」から「かぐてんぼう隊」に名称変更をした。

 同年8月、愛知県持続的防災まちづくり企画提案事業の採択を受け、「かぐてんぼう隊養成講座のテキスト」を作成し、第二期かぐてんぼう隊養成講座を実施した。

 第二期での取り組みでは実践実習を取り入れた。
  「現場で壁に穴をあけることは、かなり勇気がいる。」という参加者の声を受け実践実習を行うことにした。
  その後、管理組合と協働して天白区の分譲マンションで施工キャンペーンを実施した。

 平成17年12月、第一回かぐてんぼう隊養成講座IN守山区として、守山区社会福祉協議会と自主防災会「チーム守山」との協働事業で開催した(守山モデル)。

 参加者は、チーム守山のメンバーと守山区社会福祉協議会登録のボランティア。講座の講師は、わがやネットのメンバーが担当した。
  施工キャンペーンは平成18年2月〜3月で開催した。施工件数16件、隊員のべ人数64名。

施工に当たって、ボランティアメンバーには隊員割り振りと諸注意を行います。分隊長は建築の職人さんたちです。近隣トラブル対応は現地本部で行います。
かぐてんぼう隊養成研修と派遣事業の様子

 その後、施工キャンペーンとして、第二回を平成19年2月〜3月に開催し、施工件数23件、隊員のべ人数92人、第三回を平成20年2月〜3月に開催し、施工件数18件、隊員のべ人数72名実施した。 隊員は1グループ4、5人で編成している。

 平成20年2月に開催した施工キャンペーンでは、新たに「おしゃべり隊」を導入した。

 「家具類固定の施工は、高齢者のお宅へ男性4、5人が入り、騒音やほこりを立てながら施工を行うため、精神的ストレスが大きいのではないか」

という介護福祉士であるメンバーからの意見や、社会福祉士であるチーム守山のリーダーから、

「防災の準備物などをお話することはできないか」

などの意見もあり、女性隊員を中心とした「おしゃべり隊」が生まれた。

 かぐてんぼう隊の女性隊員も脚立に乗り電動ドリルを扱うメンバーもいるが、「おしゃべり(聞き役)」を得意とするメンバーもいることから、主に後者を「おしゃべり隊」として各グループに1人ずつ配置した。
  「おしゃべり隊」は施工したお宅の生活状況を把握することができるため、自主防災会の見守り支援体制づくりの一役を担えるのではないかと期待している。

  家具類の転倒防止の施工を行うにあたり、考えられる危機管理を一貫して行っている。
  ボランティア活動とはいえ、いつトラブルに巻き込まれるか分からない。ボランティアで活動しているからこそ多角的に危機管理を見通しておかなければならないと考えている。
  主な対策を1.〜5.に示す。

  1. 施工希望者(利用者)とのトラブル回避のために、利用者へ施工方法等を説明し「承諾書」に記名押印をお願いしている
  2. 施工隊員にはボランティア保険等に加入してもらう
  3. 施工隊員の労働災害防止のために養成講座の内容に電動工具の取り扱い説明や高所作業についての説明を行う
  4. 近隣への配慮として、利用者から「向こう三軒両隣」施工日程のお知らせをしてもらう
  5. 施工前の事前調査では、コンクリート壁内の配管や鉄筋がないかウォールスキャナーで確認を行う

 このように、リスク対策を講じているが、施工キャンペーン当日に何が起こるか予測できないこともある。
  施工当日の朝、朝礼を行い現場の問題点を説明し、各グループリーダーに注意を払うように伝える。問題はその日のうちに解決するように努めている。

【今後の取り組み】

  • 名古屋市においては、守山区の他、瑞穂区、昭和区の自主防災会からどのように進めていけばいいか相談が来ている
  • 他の市区県では、自主防災会と協働で守山モデルをイメージした活動ができないだろうかと稲沢市社会福祉協議会からの依頼があり、第一回目の養成講座を今年度実施した
  • 和歌山県が主催する「紀の国防災人づくり塾」では、昨年に続いて今年も講師として出向き、家具類の転倒防止対策の必要性を伝え、自主防災会の取り組みとして有効な「かぐてんぼう隊」の活動を紹介した
  • 岐阜県中津川工業高校から、高校生に地域の高齢者宅で家具の転倒防止の施工を行いたいと依頼があり、学生向けに家具類固定の施工方法とリスク管理の話を行った
  • 徳島市へ講師として出向き徳島のNPOと徳島市の協働事業として活動が展開されている

 このように、各地域の取り組みとして家具類の転倒防止対策が動き出している。
 これらを受けて、地元名古屋の足元を固めつつ、地域コミュニティづくりのきっかけになるであろう、「かぐてんぼう隊」と「おしゃべり隊」の活動を地域の特性に合わせ、家具類転倒防止対策を広く普及していきたいと考えている。

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自治体と建築士事務所協会協働の住宅耐震化推進
(東京都建築士事務所協会足立支部)

【取り組み内容】

 木造密集地が多く、まちの耐震化を急がなくてはならない足立区で、建築設計者の団体として平成17年度より足立区の耐震化促進事業の推進をする中心的な役割を果たした。
  また、区民にわかり易く、利用しやすいような啓発のために区内各所まで出向いて「耐震出前相談会」を実施して、助成制度を利用した耐震診断、耐震補強を推進している。

  足立区における平成18年度は助成利用の耐震診断は75件、同じく耐震補強工事は33件であった。支部事業としての耐震出前相談会は木造密集地域を重点的に8回、派遣相談員は延べ24人であった。

 同じく平成19年度の足立区の実績は耐震診断で208件耐震補強工事は93件であった。耐震出前相談会も全21回、相談員延べ63人を派遣した。

 今年度はこれまでの開催場所に加え、区のイベント会場や区内主要駅付近での開催を含め、23回の相談会と延べを予定の開催と延べ138名の相談員を派遣する予定である。

【今後の取り組み】

 今後は利用者の心理的、物理的なハードルを下げることを目標に、真に使いやすい助成制度の研究と行政への提言をはじめ、わかり易く参加しやすい説明会を開催して、耐震診断や耐震補強は特別なものではない、という啓発活動を続けたい。
  また、平塚・暮らしと耐震協議会のような情報公開の仕組みを確立し、区民が安心できる活動を充実させたい。

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選考委員特別表彰

アラミド繊維シートを用いた木造耐震補強
(J建築システム株式会社)

【取り組み内容】

■はじめに

 本工法は20 年以上前からRC 造補強の分野において使用されてきた、高張力繊維「アラミド 繊維シート」を木造の耐震補強に利用するという試みで、10 年程前から研究・開発を進めてきた。
  その結果、木造耐震補強の3 大要素である(1)耐力壁、(2)軸材の接合部、(3)基礎・地盤のうち、(1)と(2)の2 項目について新耐震工法の具現化に至っている。

(1)耐力壁の増強とバランス改善「J−耐震開口フレーム」の特長
  • エンジニアードウッドをフレーム状に形成し、応力負担部分をアラミドシートにより補強
  • 住宅の弱点である開口部をこのフレームで補強し耐力壁があるのと同じ効果をもたらす
  • 既存住宅の採光や、プランを維持しつつ壁量を増やすことができる
  • 非常に粘り強いフレームのため、いざという時の脱出口(命の窓)になる
  • 開口部の集中している側に設置すると、建物のバランスが良くなり、地震時のねじれを防止できる

 

(2)軸材の接合部補強「JBRA-1 システム」の特長
  • アラミド繊維シートを住宅の柱頭・柱脚にエポキシ樹脂接着剤によって貼付けることで、金物の代わりに接合部の補強をする。
  • プライマーを使用しコンクリートにも貼付け可能なため、既存住宅には取付けが困難とされている基礎から立ち上げるHD 金物の代わりとして利用が可能である。
  • 木材に穴や傷つけることがないので木造躯体の断面欠損がなく、建物の耐久性についても効果的である。

 

  「J−耐震開口フレーム」においては03 年に行われた(独)建築研究所主催の「木造住宅の耐震補強コンペ」において国土交通大臣賞を受賞している。その際、「良い工法は社会貢献のために広く普及しなければならない」という審査委員長からの言葉を頂いている。

  また、両工法とも公的な補助金制度等を利用しながら研究・開発を行ってきた。こうした経緯もあり、この先導的技術に関する普及については、オープン化とし、とにかく周知してもらい、多くの人に使用してもらうことを第一の目標としている。
  さらに、実際に使用する場合の環境(先導的工法のため行政上の障害などが過去にあったため)を向上させるために、公的な評価を積極的に受けることや、地方自治体の耐震改修補助などが受けられるよう、技術の確立を図り現在に至っている。

■活動骨子

1 普及活動 (1)展示会支援 出展サポート
(2)耐震技術勉強会支援 講師サポート 2 技術構築 (1)使用環境整備支援 耐震改修補助金利用等 (2)施工指導支援 管理者制度、現場指導

■活動実績
(1)耐震技術支援の一環として、地域コミュニティー中心で行われている防災活動・耐震活動へ、展示会・勉強会といった形で側面からの支援を積極的に行っている。

<展示会支援活動>

東京都都市整備局(都庁ギャラリー、新宿駅西口、本所防災館、池袋防災館)/埼玉県土土地整備局/墨田区、大田区、杉並区、調布市など/東京都建築士事務所協会/全建総連/日経リフォーム博/東京土建組合 (調布支部、墨田支部、江戸川支部、城北支部、足立支部など)/墨田区京島地区耐震補強モデルへの出展/住宅リフォームフェアー

<耐震工法技術勉強会支援活動>

福岡県建築住宅センター/長野県建築士事務所協会/都地域住宅生産者協議会/建築士事務所協会(世田谷区、杉並区、墨田区など)/全建総連東京都連/東京土建組合、建設組合(一般労働組合、江戸川支部、多摩支部など)

<基調講演>

  • カナダ林産大臣来日記念 「木造建物のおける構造の安全性と室内環境の安全」
  • 建築構造展in 北海道2007 「安心・安全な住まい」の提言
  • 神戸市すまいの安心センター「耐震改修工法説明会」
  • 渡島支庁リフォームセミナー「きちんとリフォームするための最新性能診断と技術」
(2)確実な耐震補強技術の確立と補助金制度を通して利用し易い環境づくりの整備

<J-耐震開口フレーム>

1.地域販売・製造代理店との協力体制確保 全国の各拠点に製造・販売代理店を設置し、地域密着型の活動。

  • 地域の啓蒙活動(ユーザー・技術者向けセミナーの開催)、施工指導(正しい施工の為)
  • 静岡県「倒壊0 プロジェクト」、東京都墨田区等、地方自治体の耐震補強補助金対 象工法への積極的な申請

2.技術開発・研究・・・公的補助金等の利用により、新技術開発

  • 経済産業省中小企業事業団R&D に採択
  • 国土交通省「住宅建築関連先導技術開発助成事業」採択
  • 耐震診断ソフト共同開発

<JBRA-1 システム>

 施工管理者の育成・認定 正しい現場施工の実践のため、講習会・認定試験を1回/月以上開催。 現在、施工管理士は3,500 名を超えており、全国各地において管理体制が整備。

【今後の取り組み】

■地域活動への参加

パネル、DVDの貸し出し支援により各地域での展示会や勉強会へ参加する

■工法の技術革新
<J−耐震開口フレーム>

 水平構面利用等の技術開発(吹抜け部分等の補強技術)

<JBRA-1 システム>

 柱頭・柱脚だけではなく、基礎や梁のひび割れ補強、小屋組の耐風補強など、様々な部位へ の利用を想定し、技術開発・研究。(東京大学大学院安藤研究室との共同研究ほか)

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家具転倒防止具の開発と転倒防止事業
(有限会社 大石製作所)

【取り組み内容】

 当社では区、市町村で進められている(計画中も含む)高齢者宅、家具転倒防止事業を積極的にバックアップしています。
  地震対策として真っ先に考えられるのは、地元静岡県が推進しているTOUKAIゼロ『住宅の耐震化』ですが費用の面で一様にはいきません。
  しかし阪神淡路大地震では半数以上の方が家具等の下敷きになって亡くなっています。 建物に比べ予算的に百分の一位で家具固定が出来る事を説明会等で訴えてきました。

  この様な活動を幅広く広げる方策として提案してきたのは次の点です。

  1. 地元の防災は地元で(大工組合、シルバー人材センター、商工会等)
  2. 建設、建築関係の全国組織(労働組合)への働きかけ
  3. 企業、自治体、自主防災会への働きかけ
    ( 高齢者の場合、日頃接しているケアマネージャー、介護施設、民生委員等)

説明会の写真
三重県建設労働組合本部

 当社は平成9年の開業以来一貫して、転倒防止具の開発、製造、販売、施工を行なってきました。
  自社で病院、幼稚園、学校、養護施設、一般家庭等施工をする事により、ホームセンターでは販売していない利便性の良い金具を考案し、特許性のある物については実用新案等の権利も取り事業を推進してきました。

 同時に工業技術研究所等で引っ張り試験、耐久試験等も行ない、考案した金具の数は100を越します。この金具が『施工から生まれた金具』です。

 当社の金具作りの基本は、平成8年に静岡県がシルバー人材センターに、転倒防止事業を委託した際、発行された『家具固定の手引き』に基づいています。 金具の板厚、ネジの径等細部に渡り基準が設けられています。

  高齢者に対する転倒防止事業は、静岡県をはじめ東海4県、関東地方、阪神地方に於いて、自分では転倒防止をしたくても出来ない高齢者世帯、障害をお持ちの方、母子家庭に対し 市、区、町が予算を組み地元の建築組合やシルバー人材センターに取り付けを委託する取り組みが進められています。
  現在、その様な取り組みに対し当社は以下のような活動をしています。

■計画段階の市町村に対する先進市町村の実施要綱の紹介
  • 対象者、対象となる家具、負担額、申請の仕方、トラブル事例
  • 実際に被害を受けた三重県亀山市家具転倒防止事業は効果が合ったのか?高齢者は誰の勧めで家具固定を申し込んだか?
    (地震直後に行なった三重大学災害プロジェクトチーム川口研究室のアンケート 結果を紹介)
■委託を受けた建築組合、シルバー人材センターに対する転倒防止説明会の実施

ガラス飛散某氏フィルムを貼り付けている写真
日進市シルバー人材センター

  • 金具やビスの長さ、太さは基準をクリヤーしたものを使用する
    (『家具固定の手引き』静岡県発行より)
  • 市販されている転倒防止具の効果
    (『家具の転倒防止具の効果に関する試験研究』兵庫県立生活科学研究所発行より)
  • 2つを同時に行なう事により耐震性が増す
    (『家具類の転倒防止実験の実施効果』東京消防庁開示資料より)
  • 転倒防止具と効果的な取り付け方法について
    (タンス、食器棚、冷蔵庫、テレビ、アップライトピアノ、飛散防止フィルム等)
  • 倒れにくい家具の配置
  • 悪質リフォームから地域を守る
  • 被災後のある大工組合の取り組みについて
  • 磐田市地震と災害を考える大工の会

【今後の取り組み】

  1. 転倒防止具の開発
      賃貸住宅、中高層マンションであっても、誰でも簡単に家具・家電製品を傷つける事なく安全が確保出切る転倒防止具の開発を進める
  2. 自治体、全国建設労働組合、木耐協、シルバー人材センター連合会等との連携
      高齢者宅の転倒防止事業への参画により減災と安全の確保を図る
  3. 事業継続計画(BCP)内での転倒防止対策の推進
      事業所に於ける設備固定の事例紹介や後施工アンカーを含めた設備固定マニュアルの紹介と普及を進める。

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建築防災 くまさんの会
(建築防災 くまさんの会)

【取り組み内容】

 代表である松井郁夫は、練馬区在住の内装職人として、2004年から練馬区防災課が行う家具固定・ガラス飛散防止の講習会や防災訓練において、講師として普及啓発活動を行い、区の防災行政に協力してきた。
  また区の地域防災計画や災害対策に対して、区民の意向を反映するために、練馬区が1999年以来続けている「防災懇談会」の委員としても、2006年より、区の災害対策の推進に協力してきている。

 2007年5月には、自ら家具固定・ガラス飛散防止等を進めて減災に結びつける活動を盛んにして、練馬区民の安心・安全を確保することに寄与するため、「建築防災 くまさんの会」を立ち上げた。

 この会には、区内の大工、左官、畳職、内装等々の建築関係職人が多数結集。区防災課OBも複数参加している。
  「建築防災 くまさんの会」開始より、区内で減災のための講習会を毎月開催している。

 講習会は、会が主催して区の防災課が協力するものが多く、区の防災課が主催して会が協力して行う場合もある。また例月の講習会以外に、区内の自主防災組織や災害時要援護者支援のボランティア組織などが、防災訓練などの一環として講習を主催される場合に、講師としてうかがっている。

 会に所属する建築関係職人等が、家具固定やガラス飛散防止などの各種講習会に講師として参加することは手弁当のボランティアであり、原則として職人の手間賃・講師料等は徴収していない。ただし材料費などの必要経費を主催団体に負担していただいている場合がある。(講習会の趣旨、主催者の財政状況などにより、ご相談させていただいている。)


「建築防災 くまさんの会」の講習会

【今後の取り組み】

 練馬区の「耐震改修促進計画」の中に位置付けられている「総合的な安全対策など」のなかにある「家具転倒防止等の推進」を、区の防災行政と協力しあいながら強力に進める。

 講習会の際には、防災課発行のテキストに準拠して、耐震改修などをはじめとする練馬区の各種減災メニューの紹介に努めて、大地震の時に「命を失う区民、大けがをする区民、財産を失う区民」を減らすことに更に貢献したい。

 とりわけ災害時要援護者が、区の助成制度を利用して、自らの住まいを安全な住まいにすることができるように、これらの活動を請け負うことができる建築関係職人の掘り起こしを行う。

 これに加えて、区の制度以外も含めて要援護者の住まいの安全化を応援できるボランティアサポーターの掘り起こしと教育を行いたいと考えている。

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※「第2回日本耐震グランプリ」の応募要領や選考方法などは「第2回日本耐震グランプリ参加者募集!」をご覧ください。


「第2回日本耐震グランプリ」表彰式

 2008年11月4日(火曜日)に、「第2回日本耐震グランプリ ―耐震がつくる安心安全な地域社会(第10回都市防災推進セミナー)」で行います。

 このセミナーでは、表彰式のほかに、有識者によるシンポジウムを実施します。ぜひご参加ください。

  詳しくは、「第2回日本耐震グランプリ ―耐震がつくる安心安全な地域社会(第10回都市防災推進セミナー)」をご覧ください。

応募先・問い合わせ先

 東京いのちのポータルサイト事務局(担当:寿乃田、鍵屋、小田)
 お問い合わせ:耐震グランプリに関するお問い合わせフォーム
 所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿6-7-1エルプリメント新宿209
 電話番号:080-5544-1500 / ファクス:03-5913-7251

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