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「第3回日本耐震グランプリ」受賞者応募内容


 入賞されたみなさま、おめでとうございます。日頃の素晴らしい活動に心から敬意を表します。

 惜しくも選に漏れましたみなさまには、大変申し訳なく思います。決してその活動レベルが低いということではなく、十分に立派な活動をされてはいるものの僅差で賞を逃したというのが正直な感想です。

  日本耐震グランプリは、来年も継続して実施します。ぜひ、さらに成果をあげられ再度挑戦されますことを心から期待いたします。

選考委員長 首都大学東京教授 中林 一樹


グランプリ


大学・行政・地域の連携による耐震化の推進
(愛知建築地震災害軽減システム研究協議会)

【取り組み内容】

 愛知建築地震災害軽減システム研究協議会(以下「減災協議会」という)は平成17年に愛知県内の国立3大学(名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学)、愛知県、名古屋市、建築関係団体によって設立された産官学連携の協議会で、以下のような取り組みを行ってきた。

1.安価な耐震改修工法の収集、開発、評価
  • あいち木造住宅耐震補強技術コンペ([H17]58件の応募)
  • 専門の機関を設置し工法の評価([H18]から評価対象を公募)
  • 実験による合板補強工法(穴あき、部分張り等)の開発([H19])
  • 構成員の研究者による工法開発
  • 各工法の経済評価によるマニュアルの作成及びその講習([H19]〜)

 現状として安価な耐震改修を実現できる環境がほぼ整い、工事費百万円以下の耐震改修実例も現れてきている。

2.耐震化を担う人材の養成
  • 耐震化アドバイザー養成講座([H18]〜、建築士対象260名養成)

 地域ぐるみの耐震化を推進する人材をめざしており、修了生が地域で耐震化の核になる取り組みが多数(10件程度)生まれている。

3.耐震化の啓発
  • 市民講演会の実施([H17]から毎年全国から講師を招く、市民向け)
  • 地震に強い住宅の夢図画コンクール([H17]から毎年500件以上応募)
  • 耐震診断耐震改修を推進するDVDの作成配布

 市民講演会は親子向けを目指し、子供向けの企画も用意して親子で楽しめるものとしている。図画コンクールは、明るく耐震を啓発するもので、かなり定着している。

 DVDは市役所ロビーなどで放映され、耐震診断耐震改修を推進するアイテムの一つとなっている。

4.あいち木造住宅耐震改修事例コンペ([H18]から毎年)

 愛知県に限らず耐震改修の事例を受け付けている。[H20]に事例集を作成し、それを基に事例の説明などの講習会を開催した。

5.耐震化推進のための先導的な事業の実施
  • 中学校への出前講座の実施([H19]建築士会と連携して3校で実施)
      テレビなどでアピールして実施。結果、[H20]の県の耐震まちづくり青少年啓発事業に繋がり、小中学校における耐震出前講座を広く実施する枠組みができあがっている。今年度20市町以上で実施が予定され全県に広がりつつある。
  • 木造住宅耐震改修相談会モデル事業([H20]に7団体8地区で実施)
      耐震改修を推進するために、地域建築士団体に助成して耐震改修相談会を実施した。耐震診断実施者へのダイレクトメールなど効果的な手法も開発され、効果が高いことが確認され、今年度から市町村で実施するところが出てきている。
  • 地域ぐるみ耐震化支援事業([H21]、名古屋市を対象)
      現在名古屋市内7地区で、耐震勉強会、町内役員、市職員及び建築士が戸別訪問で耐震診断を勧誘する耐震診断ローラー作戦など地域ぐるみの耐震化を目指して取り組まれている。来年度以降名古屋市による事業の継続が進められており、先導的な役割を果たしている。
6.地震災害軽減連携融合事業

 大学が減災協議会と連携して取り組む研究の社会還元を目指すもので、タスク1からタスク4の4つの部門に分かれて3大学連携で共同研究を進めている。

 耐震教育・啓発のツール開発(名大福和研)、耐震改修の程度と被害状況の確率論的分析から耐震改修の進め方提案(名大森研、名工大井戸田研)、名大、名工大、豊技大での各種の耐震補強工法の提案実験など、様々な成果が生まれている。

【今後の取り組み】

 今年度から減災協議会が評価した工法を使用した耐震改修実例が相当数補助申請されるなど、成果が現れているが、さらに普及させ耐震改修件数の増加に繋げるように取り組む。  

 減災協議会は大学の研究者、行政、建築専門家団体などの連携組織であるが、行政内の耐震部局、防災部局、教育部局との耐震化推進に向けた連携が強化されるように取り組む。さらに地域ぐるみの耐震化を進めるため、防災まちづくりに関わるNPOやボランティアとの連携協働を目指して進める。

今年度の事業
  • 一般向け講演会・展示会・相談会を融合した市民講演会
  • 耐震化アドバイザー講演会
  • 公募による工法評価、真壁の合板補強工法の実験による開発
  • 大学の地震災害軽減連携融合事業の発表会(市民向け)
  • 地震に強い住宅の夢図画コンクール、耐震改修事例コンペ
  • 地域ぐるみ耐震化支援事業
  • 高校生防災セミナー支援事業
  • その他、見学会、インターネットによる情報提供等

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優秀賞


『神戸市すまいの安心支援センター』の耐震化に関する取り組み
(神戸市すまいの安心支援センター)

【取り組み内容】

  神戸市すまいの安心支援センター(愛称:「すまいるネット」*1)は、神戸市民のすまいに関する総合的な相談窓口として、平成12年10月、神戸市住宅供給公社内に設立された「ワンストップの相談センター」である。

 阪神・淡路大震災を経験した神戸市では、被災都市として「あの日の悲劇を繰り返さないために」を合言葉に、

  1. 「自分のすまいを知る」 ・・耐震診断を受ける
  2. 「すまいを丈夫にする」 ・・必要に応じて、耐震改修工事を行う
  3. 「すまい方を工夫する」 ・・家具固定など、すまい方を工夫する

という『すまいの耐震化の3原則』を掲げて、安全安心なすまいづくりに向けた取り組みの啓発・普及に努めている。

「すまいるネット」においても、「すまいの耐震化」について市民を対象とした相談業務、セミナーや出前講座に取り組むと共に、小中学校での防災教育・耐震教育の授業を兵庫県建築士会と連携して実践している。

平成17年度からは、「すまいの耐震診断員派遣事業(無料)」や県・市の「耐震改修計画・耐震改修工事補助制度」等、「すまいの耐震化」のワンストップ窓口として活動を行っている。

「すまいの耐震診断員派遣事業」の実施に当たっては、耐震診断員養成の為の独自の研修会を兵庫県建築士事務所協会神戸支部の協力を得て実施している。

また、耐震診断は受けたけれど、「どこに耐震改修設計・改修工事を依頼すれば良いの?」という市民の声にお応えする為に、市内の建築関係団体等で設立された「神戸市すまいの耐震ネットワーク*2」の事務局となって、市民と専門家をつなぐしくみづくりを行っている。

さらに、耐震診断を受けたマンション管理組合に対しては、耐震改修に向けた合意形成のために弁護士や、建築士などのアドバイザーを派遣する制度を実施している。

平成18年度からは、「すまいの耐震化」の重要性を市民により一層訴え、普及・啓発を進めることを目的として、神戸市消費者協会、神戸市自治会連絡協議会などの市民団体や、兵庫県建築士会、兵庫県建築士事務所協会、神戸市建築協力会などの専門家団体、NHK神戸放送局、ラジオ関西、神戸新聞社などの報道機関と連携しながら、毎年、「防災の日」である9月1日から「住生活月間」である10月末までの2ヶ月間を『神戸市すまいの耐震キャンペーン』期間と位置づけ、様々なイベントを実施している。

平成21年度は、『神戸市すまいの耐震キャンペーン*3』として

  1. 耐震改修オープンハウス (普段は見ることが難しい耐震改修工事中の住宅の市民向け見学会)
  2. 住宅の耐震診断体験ツアー (市民向け耐震診断の模擬体験、診断結果の説明)
  3. 無料家具固定イベント、地震体験車”ゆれるん“の派遣 (家具固定の重要性を啓発する現地出張イベント)
  4. 住宅の耐震改修工法展 (日本建築防災協会の耐震改修認定工法などの展示・講習)
  5. 県立工業高校の生徒による耐震診断実習

などを実施中である。

さらに、この9月からは、「すまいの耐震化」に加え、耐震改修促進法に基づく特定建築物など、すまい以外についても、耐震診断や耐震改修に関する無料相談業務を開始し、建築物の耐震に関する全ての相談のワンストップ化を図ったところである。

【今後の取り組み】

 神戸市が平成20年2月に新たに策定した「神戸市耐震改修促進計画」では、市内の住宅全般の目標耐震化率を国の目標値を超える95%(平成27年度末)と定めており、この目標に向けて関連団体とのネットワークを更に強化しながら、耐震化の普及・啓発等に取り組んでいく。

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住宅耐震化への総合サポート
(NPO法人 日本耐震防災事業団)

【取り組み内容】

  1. 耐震防災の観点から地域安全化の活動 …耐震診断・耐震補強提案
  2. 耐震防災の啓蒙 …地域防災セミナー等の開催・講演活動
  3. 耐震防災技術の開発研究 …工法開発・実験
  4. 耐震プランナーの育成 …講習会及び資格試験の定期開催

を掲げ、住宅耐震化への総合サポートに取り組んでいます。

NPO法人日本耐震防災事業団を設立し東京都認証を得て9期目を運営しております。

設立の原点は、3年近くにわたり倒壊家屋の撤去・復興住宅の再建に携わった、阪神・淡路大震災にあります。6,400名以上の犠牲者の大半が家屋の倒壊・家具転倒によるものであった事から耐震補強・倒壊防止工法の研究・開発・実験、耐震プランナー制度の創設、実務者の育成研修の実現を目的に活動しています。

  • 全国で耐震診断実績件数6,000棟、耐震補強コンサルタント及びアドバイス件数1,700棟の実績があります。
  • 地域防災セミナー・講演活動は随時行っております。
  • 耐震補強工事費用が高額な為、工事が出来ずにいた方などに「安価で信頼できる工法」があることを広く知って頂けるように数十社の工法を紹介した書籍の監修をし、出版に携わりました。
  • 耐震補強工法開発においては全国コンクールに評価実績があります。 耐震補強の普及の妨げと思われる4つの障害(工事費が高く効果が見えにくい。部屋内部作業の為入居者の支持が得られにくい。工期が長い。助成金の対象にならない。)を全てクリアーできた「DSGパワーウォール」の実験に成功し既存不適格住宅の改修に効果を発揮しています。
  • 耐震プランナー育成人数のべ1,950名を超えました。 迫り来る大地震の災害に対し、さまざまな分野の人々との広範なネットワークでのつながりと、先端通信情報技術を活用した地域防災を推進して、破局的な事態を回避し、市民の生命と財産を守ることを目的として「自分達の街は自分達で守る」「自分達が死なない為に」をキーワードに首都圏の地域、民間、大学、行政関係者等に連携を呼びかけています。

【今後の取り組み】

 今までに養成した耐震プランナーを総動員して各自治体との協働の精神で建築士・施工管理士・大工さん・消防士・自治会等のネットワークを作っていきたい。10年500万棟の数値目標を達成できるよう、毎年報告発表の場を設けられるように呼びかけていきたい。

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ガーディアン工法(株式会社 住宅構造研究所)

【取り組み内容】

 数年前、高齢者を狙った悪質な耐震リフォームの存在を耳にした事をきっかけに、自社の研究設備を活かしより多くの研究開発を行うことで、住まい手に対して改修後の住宅の耐震性を、数値で説明する耐震改修工法の普及は出来ないかと考えた。そうして開発されたのが、ガーディアン工法である。

耐震性の性能は自己評価ではなく、第三者によって公平に評価されたものである事が、住まい手が真に安心して使用できる耐震改修工法であると考え、公的機関である(財)日本建築防災協会が取り行う住宅等防災技術評価制度の評価を取得している。
さらに、定期的に工法説明会を実施し、工法が正しく伝えられるように啓蒙活動に努めている。

ガーディアン工法には、

  1. エネルギー吸収性と剛性のバランスを考慮 した粘弾性体を使用し、大きな変形下でも優れた性能を発揮する、制震補強壁の『ガーディアン・フォース』
  2. 既存住宅の耐震補強だからこそ強さだけでなく粘り強さも追及した耐震補強壁の『ガーディアン・ウォール』
  3. 現状の居住構造を利用して、手軽な耐震補強が出来る『ガーディアン・シールド』

の3 種類が含まれるが、いずれの壁も建防協 の評価を取得して性能が客観的にわかるようになっている。

又、床や天井を壊さない補強をコンセプトに開発されているので、解体部分が最小限に抑えられ、解体費や修繕費の削減、さらに大幅な 工期の短縮が可能となり、住まい手の負担する費用を軽減する事にも貢献している。

【今後の取り組み】

大地震による危険性が指摘され、耐震補強の必要性が訴えられて久しいが、既存木造住宅の耐震補強は思うように進んでいないのが現状 と思われる。

耐震補強を行うとなると、工事中の煩わしさや多大な工事費等、施主に大きな負担を強いる。これが耐震補強の進展を遅らせている要因 の1 つと考えられる。

国土交通省は建築物の耐震化率を平成27 年までに90%まで上げる事を目標にしている。阪神・淡路大震災のような被害を二度と起こさ ないためにも、このプロジェクトを確実に遂行する必要がある。

当社も性能は落とさずにコストを下げる工法の開発に着手して、耐震補強の普及に日々努力を続けている。今後も今以上に強さに加えて粘りを保持した技術の開発を手掛けて、大地震の際に確実に効果を発揮する製品を作り、大震災の被害を防いでいくとともに、耐震化率を上げる事に貢献していきたいと思う。

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「木造SRF工法耐力壁」を採用した東急電鉄のエコ耐震住宅
(東京急行電鉄株式会社)

【取り組み内容】

■最近の住宅ニーズは、新築から中古住宅、リフォームに大きくシフトしようとしている。ポイントは、十分な耐震性が必要な住宅の長寿命化にリフォームが十分対応できるのか、という問題である。
「田園都市線沿線の高齢者人口は03年に10.8%であったものが、18年には30%を超える見通し。しかも既に分譲した住宅の7割以上が築15年を超えているのが現状。幅広い年齢層が安心して住める街へ再生することが期待されている」

■当社が東急田園都市線沿線で進める「ア・ラ・イエの事業」は耐震補強を伴うフルリフォームによって、建築後15年以上を経過した一戸建て住宅に居住しているシニア世帯の住み替えと若者ファミリー世帯の流入を促進することで人口のバランスを維持し、安心して住めるまちづくりを目指しており、地域ブランド価値の維持など複合的な効果が評価され、新たな地域再生手法として期待されている。
※ア・ラ・イエ:新しい家・改める家という意味の造語

■住宅の新築工事をフルリフォーム工事にすると、住宅の解体による廃材の量が7割半削減するほか、新たな建材の使用を大きく削減でき、CO2排出削減効果のほか、景観の維持を図りながら地震に強い街に再生することができ、街としてのブランド価値向上にも貢献する」。

■「フルリフォーム」のもっとも重要なテーマのひとつは耐震補強にある。現行の建築基準法を満たす補強工事を完全に実施することが住宅の長寿命化につながるためである。当社では、「木造SRF工法」の特許を持つ構造品質保証研究所鰍ニ業務提携し、耐震補強の普及に特に力を入れている。手法としては、金物による補強や内壁に筋交いを入れ、外壁に構造用合板を貼り付けるなどの従来型の補強方法を中心に、「木造SRF工法」を主体に導入を行っている。

■「木造SRF工法」は、柱や梁などの接合部にポリエステル製のSRFベルトを接着剤で貼るだけで丈夫な補強が可能となる工法。こうした耐震補強により、建物の長寿命化を実現し、「耐震基準適合証明書」を取得することで税制優遇の適応も可能である。

■建物については、事前に検査を実施し、床下・屋根裏等の状況の調査をする。その検査をクリアーした物件だけを厳選し、かつ十分な構造計算に基づき、補強工事を実施する。建物調査の結果によっては建て替えをおすすめしている。

■木造SRF工法がツーバイ工法での実験((財)日本住宅・木材技術センター)でも成果を挙げてきたことを踏まえ、売主・買主のメリットとなる建築コストの低減、とりわけ「耐震補強工事費」の低減を図るため、従来の金物主体の工法からSRF工法の併用に全面的にシフトしている。
 また、設計の自由度に結びつく(耐力壁の数を増やさずに壁倍率を向上させられる)ため、新築住宅に「木造SRF工法耐力壁/際貼り増し討ち工法」を採用。(2009年度150件見込み)

■木造SRF工法を中心とした木造耐震補強工事の施工協力業者を育成して地域ぐるみでの耐震化を推進している。(年間目標100件)

【今後の取り組み】

■今後はSRF工法を中心とした木造耐震補強工事の施工業者の育成により地域ぐるみの耐震化をより一層推進していくとともに、RC造のマンション1棟フルリフォームにもSRF工法を採用し、地域での地震災害の軽減促進に努めて行きたい。

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※「第3回日本耐震グランプリ」の応募要領や選考方法などは「第3回日本耐震グランプリ参加者募集!」をご覧ください。


「第3回日本耐震グランプリ」表彰式

 2009年11月16日(月曜日)に、「第3回日本耐震グランプリ ―耐震化推進の新たなステージへ(第11回都市防災推進セミナー)」で行いました。

 このセミナーでは、表彰式のほかに、有識者によるシンポジウムを実施しました。

  詳しくは、「第3回日本耐震グランプリ ―耐震化推進の新たなステージへ(第11回都市防災推進セミナー)」をご覧ください。

応募先・問い合わせ先

 東京いのちのポータルサイト事務局(担当:寿乃田、鍵屋、小田)
 お問い合わせ:耐震グランプリに関するお問い合わせフォーム
 所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿6-7-1エルプリメント新宿209
 電話番号:080-5544-1500 / ファクス:03-5913-7251

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