東日本大震災【自分の心をケアする21の方法】
最近、何だかイライラするとか、眠れないとか、 逆に眠くてだるくて・・・なんてことはありませんか。
今日は、渡部陽子副理事長(「災害時こころの部会」)からのメッセージです。
現地に行っていない私でも、3月11日(金曜)の東日本大震災の後、各々の地震体験やさまざまな情報そして募金など後方支援などでとても疲れが出始めているのを感じます(イライラ、睡眠時間が長くなるなど)。
東日本大震災のあと生じるストレス(身体・認識力・感情・行動)は、被災者のみならず、支援者も大きなストレスを受けています。 現地に向かわれ、運営支援や運搬、炊き出し、土木作業などにあたられ方々(支援者)のお疲れはいかばかりかと拝察しています。
ご自分をいとわれ、蔑ろにされることなく、是非腹式呼吸とリラックス運動を続け、さらに休養を十分お取りくださいますよう。
これから続く、震災後 2ヶ月後位から1〜2年続くといわれている時期(「幻滅期」ともいわれています)。 このときこそ被災者はもちろんボランティア(支援者)はこれまでの運搬や炊き出し、土木作業などもさることながら、心理的なケアが必要になってきて、以下 の「自分の心をケアする20の方法」のエクササイズが求められる時期といわれています。
自分の心をケアする20の方法 (援助者用)
※緊急事態後、このメモを救援者にすぐ渡すとよい。
- 24時間以内にエアロビック運動など(発散できるように、手早く手足など全身を動かすなど)をする
- 次にリラクゼーション(深呼吸、心地よいイメージなど)をする
- 時間枠を作って節目のある行動をする(起床・就寝・食事・働きに行くなど)
- ほとんどの反応は災害を受けた結果受けるノーマルな反応なので自分がおかしいと思わない
- みんなと話す(安心な状況で話をすることは癒しにつながる)
- アルコールや違法ドラッグを避ける
- みんなに助けを求める(孤立化をさける)
- なるべく日常のスケジュールに沿った行動をする
- 孤立しないでなるべく他の人と一緒に過ごす
- 他の人々をできるだけ助ける
- 落ち込んだりむしゃくしゃしたりする感じになるのを素直に受け、他人とシェアする
- 何が起こったか、何処にいたか、どんな反応をしたかなど記録やメモをする
- 気分転換になる自分の好きなことをする
- 周りの人もストレスを感じていることを理解する
- 人生の大きな変化となるような決定をしない
- 自分のコントロールが聞く範囲で、小さな決定をできるだけ多くする (何を食べたいか→ご飯が欲しい、何が必要か→ティッシュペーパーが必要だ、など、できるだけ意思表示をするようにする)
- 休息をたくさんとる
- フラッシュバックやいやなイメージが出てきたら無理に消そうとしない( ノーマルな反応なのでしばらくはあっても時間の経過と共に少なくなる)
- できるだけバランスの取れた食事をする
- ぶるぶる震えさせる、頭を下げて手をぶらぶらさせる、仰向けになり手足を震わせる (自然の摂理:自然界においても野生動物インペラーなどがライオンに追いかけられつかまりそうになって逃げ切ったときなどは、死の恐怖からくる震え・深呼吸など放出行動をするし、仲間もなすがままにさせておくという)
印刷用「自分の心をケアする20の方法(援助者用)」(PDFファイル 90KB)
そして21番目は、被災者の心のケアです。
被災者の支援をしている方は、被災者の心のケアと一緒に、ご自身の心のケアをされるとよいですね。以下のメモ「ストレス反応の症状」を対象者に渡してください。絵にしてもよいそうです。目的は、災害を受けたときに起こるノーマルな反応であることを当人に知らせ、事態のノーマル化を図ることです。
被災者の心のケアのために ストレス反応の症状
- 身体:
- 震え、のどが渇く、疲労感、吐き気、気を失う、手足や顔がびくびくする、嘔吐、目がくらむ、力が抜ける、胸の痛み、頭痛、血圧上昇、鼓動が早くなる、筋肉の痙攣、ショック状態、歯軋り、視力低下、汗が出る、呼吸困難など。
- 認識力:
- 混乱、悪夢、不安定さ、神経がとがる、不信感、イメージが頭から離れない、他人を攻める、問題解決力の低下、抽象的な考え方ができない、注意散漫、物事の決定力の低下、集中できない、記憶力の低下、時間・場所や人の名前がはっきりしない、物事の見分けができなかったり誰だか見分けがつかなかったりする、神経がぴりぴりしたり鈍磨したりする、周りに対して敏感になったり鈍感になったりする。
- 感情:
- 恐れ、罪の意識、悲しみ、パニック、否認、不安感、いらいらする、動揺する、うつ、強い怒り、将来への不安、感情の爆発、圧倒された感じ、感情のコントロールができない、不適切な感情の表現など。
- 行動:
- 引きこもる、休めない、動き回る、予測できない動きをする、いつもやっていることができない、言語パターンの変化(幼児化・どもる・理論的筋道が立たない・早口になる・無口になるなど)、食欲の減退または過食、周りの環境に敏感に反応する、アルコール量が増す、コミュニケーション力に変化が出るなど。
印刷用「ストレス反応の症状(被災者用)」(PDFファイル 93KB)
参考資料:
Mitchell,Jefferey T.&Every,George S. Critical Incident Stress Management(CISM): Group Crisis Intervention
これまでたとえ後方支援であっても、深呼吸(腹式呼吸)と身体のリラックスが疲れを取り、心身の回復のためには欠かせません。
これから連休に向けて行動を起こされる予定の方々も、帰京されてお休みをとっておいでの方々も、どうぞ運動の後にはストレッチをされるように、自分は大丈夫とご自分を粗末にされないで、「自分の心をケアする20の方法」を実践されますよう、お願いいたします。 早く回復し、後に鬱などとして長引かないように願っております。
なおこれらの資料は、「日本女子大で行われた西尾和美ワークショップをまとめて、平成17年9月の「災害時こころの部会」(NPO法人東京いのちのポータルサイト)で使用したものです。