首都直下地震への対応に関する
都知事選各候補者へ公開質問

平成19年3月29日
首都直下地震を考える有志の会

 

能登半島地震

 3月25日午前9時半頃、能登半島で最大震度6強の直下地震が発生しました。 総務省消防庁などによると、死者1人、負傷者252人、住宅全壊55件などが報告されています(27日20時現在)。亡くなられた方、被災された方々には、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。

  今回の地震では「能登半島地震」と命名されるほど大きな被害が出たとはいえ、地震動の激しさに比べるならばその被害は奇跡的に小さかったことが指摘されています。 その理由は明快です。

 震度6強の強い地震が襲った地区は、

  • 人口密度が低かったこと
  • 古い建物が多かったとはいえ豪雪に備えて住宅の柱や梁が太かったこと
  • 実際には雪がなく屋根が軽かったこと
  • 火を使っていない時間なので火災が起きなかったこと

などです。

 とはいえ、復旧復興が遅れると、高齢化の進んだ地域であるが故に、震災関連死の増加が懸念されるところです。

首都直下地震

 30年以内の発生確率70%といわれるm7クラスの直下地震が、今の首都東京を襲った場合には、どれぐらいの被害が出るのでしょうか。

  2005年2月の中央防災会議(内閣府)の被害想定では、最大震度6強の東京湾北部地震が風速15メートルの冬の夕方に発生すると、死者1万1千人(うち焼死者6千人)、負傷者20万人、建物の全壊20万棟、焼失65万棟、その経済被害は112兆円とされます。
  この数字は、たった一つの直下地震で、破局的な被害となりうることを意味しています。 都民の生命と財産が著しく損なわれるばかりか、日本全体の経済、社会、財政もまた破綻する可能性があります。

 その首都直下地震は切迫しており、いつ起きてもおかしくありません。

震災対策の基本は耐震補強

 1995年1月17日早朝に起きた阪神淡路大震災では、6434人の方が亡くなりました。
  そのうち震災関連死を除く5501人の85%の方が、壊れた建物や家具の下敷きになり、窒息したり圧死をされ、10%の方は、壊れた自宅に閉じ込められ、身動きができないまま焼死されたのです。
 こんなに家が壊れなければ、こんなに多くの人は死にません。壊れた家が道路を塞いで救助活動や消火活動を邪魔して遅れを取ることもなく、さらに出火率も下がります。

  耐震補強によって家を強くすることは、その家に住んでいる人の命を守るだけではなく、地域での防災活動も行いやすくし、火災も減らすのです。一石三鳥なのです。 阪神・淡路大震災の六千人を超える亡くなられた方は、自らの命と引き替えに、このことを我々に示してくださったのです。

東京都知事各候補者への公開質問

 阪神淡路大震災から12年が経過し、その教訓も、当時の記憶すら風化していると言われます。 現在進行中の東京都知事選挙においても、首都直下地震に関する議論は十分に行われていないように思います。
  奇しくも、能登半島地震が起き、ことの重大性をあらためて認識すると同時に、私たちにはまだ時間が残されていることに気がつきました。 以上をふまえ、私たちは、各候補者の皆さまに次の4点の質問をさせていただきます。

 第一は、首都直下地震について、どのような認識を持っておられるのでしょうか。

 第二は、首都直下地震対策として、何をどのように実行されるのでしょうか。

 第三は、その直下地震対策は、あなたの政策の中でどのような位置を占めているのでしょうか。

 第四は、なかなか進まない耐震補強ですが、これをどう考え、どのように進めようとされているのでしょうか。

 ご多忙と存じますが、時間があまりないため、回答は4月2日(月曜日)正午までにメールあるいはファクスでお願い申し上げます。
  ご回答は、そのまま公開させていただきますことをご了承ください。

 また、貴重なご意見は、私たちのこれからの取組みの参考にさせていただく所存です。

 

実際に送付した「公開質問状」(PDFファイル 18KB)


首都直下地震を考える有志の会 呼びかけ人(50音順)

 石橋 克彦(神戸大学教授)
 上田 誠也(東海大学教授)
 柴田いづみ(滋賀県立大学教授)
 長尾 年恭(東海大学教授)
 中林 一樹(首都大学東京教授)
 福和 伸夫(名古屋大学大学院教授)
 目黒 公郎(東京大学教授)

本件回答・連絡先

 首都直下地震を考える有志の会:
   柴田いづみ(npo法人東京いのちのポータルサイト理事)
 アドレス:shutojishin@tokyo-portal.info
 ファクス:020-4622-8117


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