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今、東京に大規模な直下地震が起こると、最悪の場合、建物は20万棟が全壊し、その後の火災で約65万棟が全焼し、700万人が避難所に入るそうです。東京だけでなく、日本が壊れます。
これを防ぐためには、建物の耐震補強しかない。それも、できるだけ早く。
国や自治体、あるいは建築関係者の努力にもかかわらず、実際には耐震補強はほとんど進んでいません。それは、ひとりひとりの市民が取り組まないからです。
結局は、自分の命や家は自分で守る、自分たちのまちは自分たちで守る、これ以外の方法はないことに、私たちは気づきました。
そのとき、誰に相談するのか、誰が工事をしてくれるのか。最も頼りになるのは、まち場の建築士や工務店の皆さんです。いわば、まち場の建築士や工務店は、昔の街の棟梁のように、街の守り神なのです。
まち場から耐震補強を進めるために、私たちは、次の4項目を提言します。
技術革新
安くて、簡単に工事ができて、しかも効果がきちんと分かるような耐震補強技術を市民は求めています。そのような技術革新に国をあげて取り組みましょう。
専門家や行政は技術の検証、助言などにより、熱心に取り組んでいる技術者、建築士や工務店を支援しましょう。
情報共有の場づくり
全国の耐震補強技術を集大成して、市民によくわかるカタログを作りましょう。そのため、われわれは技術データを集める場を作ります。
そのカタログを使って、市民と建築士、工務店が情報を共有し、市民が安心して耐震補強の技術を選べるようにしましょう。
まずは自分の家や土地の耐震性を理解しましょう。行政は、地盤や建物の情報を積極的に提供し、住宅を選ぶときは、地盤の強さ、住宅の耐震性の有無にも注意を向けましょう。
行政は、地盤や建物の情報を積極的に提供し、まち場の市民が自分たちで考え行動することを支援しましょう。
まち場全体の安全性にも関心を持ちましょう。隣の家が倒れてきたり燃えたら困るのは自分たちです。だから、まち場ではおせっかいが許されます。
努力した人が報われる仕組みづくり
技術者がよい技術を開発すれば、どんどん広がって利益が増える仕組みを作りましょう。建築士や工務店がよい補強工事をすれば、きちんと評価されて業績が向上する仕組みも大切です。それには、実績を積極的に公表し良いものが選ばれる市場を創造することが必要です。
耐震補強をした人が報われる仕組みをつくりましょう。とくに最初のうちは、耐震補強をした人の消費税を免除したり固定資産税を下げたり、工事費に助成したり、保険金を大幅に安くしたりして、勢いをつけることも効果的だと思います。
努力したくてもそれが困難な低所得者やハンディのある方については、行政が重点的に支援することも必要です。
誰でも、腕のよい建築士や工務店に仕事を頼みたい。でも、市民はどこが腕がよいかわからない。ところが、同業者は誰の腕がよいのかよくわかっています。だから、地域で腕のよい人同士が組んで「耐震補強推進会」を作ってください。そして、良い腕をわかりやすく宣伝してください。
行政こそ耐震補強のモデルに
行政に一番やってもらいたいことは、学校や病院など公共的な建物の耐震化を進めることです。民間のモデルになってください。
また、明日の日本を背負う、小学校・中学校・高等学校でも耐震補強の大切さを訴える防災教育を継続的にすすめてください。
今日から、市民、技術者、建築士、工務店、学会、行政は、力を合わせて、
国民的な耐震補強運動を進めていきましょう!
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