「第1回 日本耐震グランプリ」受賞者応募内容
入賞されたみなさま、おめでとうございます。日頃の素晴らしい活動に心から敬意を表します。
惜しくも選に漏れましたみなさまには、大変申し訳なく思います。決してその活動レベルが低いということではなく、十分に立派な活動をされてはいるものの僅差で賞を逃したというのが正直な感想です。
日本耐震グランプリは、来年も継続して実施します。ぜひ、さらに成果をあげられ再度挑戦されますことを心から期待いたします。
選考委員長 首都大学東京教授 中林 一樹
内閣総理大臣賞(グランプリ)
■特定非営利活動法人 平塚・暮らしと耐震協議会「市民が主導する平塚の耐震補強」

耐震補強現場の視察会
【取り組み内容】
03年3月から、平塚では多数の市民グループが連携して防災まちづくり活動を始め、被害軽減の切り札=耐震補強の流れを創り出した。
以後4年半の取組みの中で、耐震を阻む四つの壁(技術、制度、供給、需要)を克服し、耐震まちづくりの事業化に成功した。
■技術の壁の突破
04年3月に、安価で効果の高い耐震後付ブレース工法を開発し、耐震補強モデル事業を実施(市内深田邸)。
■制度の壁の突破
05年3月に、専門機関による二度の破壊試験結果を踏まえ、平塚市が同工法を助成対象に決定。
■供給の壁の突破
05年2月に診断士、建築士、工務店、市民団体が連携して平塚耐震補強推進協議会を設立、信頼できる供給体制を確立。
■需要の壁の突破
耐震補強工事実績は、03年度1件、04年度5件に対し、05年度27件、06年度37件と増加し合計70件となった。07年度は、既に36件の耐震補強計画を完了し、うち10件が工事終了又は施工過程に入っている。
【今後の取り組み】

防災まち歩き
- 面的・地域ぐるみ耐震補強の推進
地元自治会、平塚工科高校などと連携し無料家具固定事業を実施する(100世帯対象)。施主との信頼関係を養い、面的・地域ぐるみ耐震補強につなげる。また、厚木、藤沢など近隣地域で、耐震・リフォーム無料相談会を実施する。 - 地域力を向上させ、市民の暮らし全般を支える
耐震工事で出る建築端材を原材料とする小碁盤製作・普及事業を地域作業所と連携して実施し、豊かな地域力を創り出す(日本棋院、平塚市が後援)。 - 耐震・まちづくりでの全国連携
墨田区に引き続き、安城市、行方市、厚木市、長野県富士見町、広島県鞆の浦などとの連携を進め、耐震まちづくり・地域活性化の成功事例を創り出す。 - 宅建協会との連携
耐震診断・耐震補強による物件差別化・ビジネスモデルを創り出すため、(社)神奈川県宅地建物取引業協会に実務研修を実施し、連携を強化している。
【特記事項】
- 情報公開:
協議会の仕組み、工法、価格、顧客アンケート調査結果、クレーム情報(業者氏名を含む)などをウェブで公開している。 - 報道:
当協議会の活動は、朝日新聞社説(06年2月)、NHKクローズアップ現代(06年1月)をはじめ多数のメディアで紹介されている。 - 助成制度拡充の要請:
耐震診断法の精密化に伴い、工事価格が上昇した(130万円⇒250〜300万円へ)。現行の上限50万円の助成は無力化しており、100万円程度への拡充と簡易耐震助成を平塚市に働きかけている。
特別優秀賞
■岐阜県恵那市家具転倒防止実行委員会「恵那市家具転倒防止ボランティア作戦」
【取り組み内容】
平成16年1月に家具転倒防止実行委員会を立ち上げ、平成16年8月、民生委員・自主防災隊・中学生・女性防火クラブ・建築士・消防団等、ボランティアの力で、142名の高齢者宅に約900名のボランティアを動員して家具転倒防止ボランティア作戦を実施し、取付けた多くの高齢者から感謝の言葉を頂いた。
その後、平成16年10月、市町村合併により広くなった恵那市での減災対策が急務となり、旧恵那市で実施した家具転倒防止器具の取付及び新たに設置が義務付けられた住宅用火災警報器の取り付けをボランティアの力で行う事となった。
平成18年度、市内の民生委員及び各自治会の皆様のご理解とご協力を得て、65歳以上の1人暮らしの高齢者及び重度の障害者、70歳以上の高齢者世帯に対し、取付けるかどうかの聞き取り調査を行っていただき、平成19年7月から10月にかけ、地域ごとに計5回実施する事となった。
まだ実施途中であるため数字は前後するが、家具転倒防止591世帯、火災警報器775世帯を約4,000名のボランティアの力で実施中である。
メインテーマを「みんなで広げよう助け合いの輪」とし、民生委員、中高生、日赤奉仕団、自治会ボランティア、一般ボランティア、消防団、女性防火クラブ、市職員、電気工事関係者等のボランティアで恵那市家具転倒防止ボランティア作戦を実施中である。
【今後の取り組み】
今回ボランティアの力で実施した狙いは、高齢者等の減災対策ともう一つボランティアに参加した人達の減災への取り組みを考えるきっかけになると考えたからです。
事実、平成16年に実施した後、地域単位で家具転倒防止事業を行った地域もあります。
今後は各自主防災隊及び自治会単位での取り組みに期待しています。
【特記事項】
平成16年度の取組みを受け市民主導の防災研究会が設立され、今回の家具転倒防止ボランティア作戦での説明会を担当するなど積極的に防災活動に取り組んでいる。
■千葉県立市川工業高等学校 建築科「地域に拡がれ!木造住宅耐震診断ボランティア活動― 千葉県立市川工業高等学校耐震研究班―」
【取り組み内容】
平成15年4月から、建築科3年の「実習」と「課題研究」の授業の中に「耐震研究班」を設けた。2クラス15名前後の意欲ある生徒たちを中心に、2年生の一部有志の生徒らが加わり、喫緊の課題である木造住宅の耐震補強に結ぶ「耐震診断」のボランティア活動に取り組んでいる。
また、学校を中心に地域市民の防災意識向上を図るとともに、専門家のネットワークを構築した。さらに、企業の防災計画に働きかける貢献活動など、幅広く、かつ積極的に展開している。
1.学習面での特色
- ボランティア講師の活躍
- 八島信良先生(日大非常勤講師、工博)のご指導のもとに、毎年度、新しい試みに取り組んでいる。
- 実験先行学習で難関突破
- 実験や見学を先行して難しい理論を楽しく学習している。専門家が使う耐震診断ソフトに習熟し、一般法から精密診断法までを学んだ。さらに、寺院や漁民家などの伝統建築を限界耐力計算法(エクセル)で評価したり、宮大工さんの協力を得て、「差し鴨居」工法の接合耐力を実験で解析する(極めて粘り強く復元力に優れている)など、意欲的に取り組んでいる。
- 目指せ全国の防災リスク軽減
- 学習の一環として、地域で耐震診断ボランティアを行える各県の専門高校の存在意義は大きい。全国の工業高校で建築科を設置する学校の教員に対して、本校の学習指導法や実験方法などの試みを積極的に公開し、建築倫理の育成も含めた建築防災学習の普及を働きかけている。昨年度は、関東近県で4校(藤岡工高、本校、葛西工高、田無工高)、関西で1校(彦根工高)が耐震診断ボランティア活動を実施。本年度は、東日本の十数校で実施の検討に入った。
- 生徒の特別活動を積極的に評価するシステムを確立
- 放課後や休日などの授業以外の活動には、「学校外の学修」の扱いとして取り組んだ累積時間数によって増加単位を申請できる制度を成立させた。休日を返上して取り組んでいる意欲的な生徒に、確かな評価を与える教育課程の改善も行った。
2.地域への働きかけ
- 「自分でチェック!木造住宅耐震診断ボランティア講座」
毎年度、夏休みを利用して市民に呼びかける耐震診断講座を開催している。本年は、「親子でチェック!住まいの弱点発見」をテーマに、住宅内の転倒の恐れのある家具を調べる要素も取り入れて開催した。3名の中学生が参加し、中学校の技術家庭科で欠落している学習要素を補完する事例となった。 - 希望者宅の床下から天井裏まで詳しく点検する実地調査を毎年実施し、地域からの信頼を得ている。
- 自治会連携型一斉簡易診断「町内まるごと耐震診断」を提唱。生徒が直接住民から不安要素を問い聞きし、専門家による耐震診断への橋渡しを進めている。
- 「震災時要援護者ネットワーク(船橋市大穴南すすきが丘町会)」との連携で、簡易耐震診断と家具の転倒防止を行う。*9/15、午前中2時間半で34件を実地調査。高齢者や障害者宅の耐震補強が課題となる中、専門の工高生が積極的に耐震診断や家具の転倒防止を働きかける先行事例として新聞各紙に報道された。
3.専門家のネットワーク構築や企業の防災計画への啓発活動
- 各種耐力壁の公開実験 学校が中心となり、地域の施工業者(木造住宅耐震補強施工研究会を結成)や設計者、行政、NPOの連携を図る。*7/24〜27、本校材料実験室。以下、これまでの主な実験内容。
H17 釘止め筋交い/化粧合板/差し鴨居/仕口ダンパー
H18 木造アパート実大実験/鉄筋筋交い/薄型鋼板 他
H19 接合金物/金属系サイディング/窯業系再サイディング 他 - 木造アパートの実大実験 地域の工務店の協力により実際の木造アパートを使った実験を公開した。*H18年6月。老朽木賃アパートの危険性を広く訴えた。
- お昼休耐震出前講座 若年層に関心を高めてもらう活動として、企業のお昼休み、僅か30分を利用した耐震診断出前講座の試みを開始した。*6/25、秋葉原。
4.専門家への橋渡し「防災コーディネーター」育成に協力
- パルシステム生活協同組合(会員90万名)で「防災リーダー養成講座」に協力。*7/19、飯田橋。12/6、本校で実施予定。
- 千葉県エルピーガス協会(加盟1000社)の防災展に協力 *8/25、千葉市。
5.拡がれ!防災教育
- 「黒潮サミット・アジア防災教育子どもフォーラム(和歌山)」で、耐震研究班代表生徒4名が参加。津波被害を含めたアジア諸国の若者たちとワークショップをとおして防災フォーラム宣言をまとめる。*H18年10月。
- 東日本建築教育研究会(加盟151校)で構造設計担当者に積極的な働きかけを行う。*7/26、27岩手大会。
- 千葉県教育委員会に「防災教育」のチーム結成。*H20年1/26、「親子防災講座」に協力の予定。
- 中学校「技術・家庭科」で初の「家具の転倒防止」研究授業に協力。 *5/14、松戸5中。11/1、技術・家庭科部会に協力。
6.カトマンズの危機遺産と耐震性の啓発活動
- 「第4次ネパール技術ボランティア隊(H18/12/22〜31)」
木造の骨組みと質の悪いレンガブロック造の伝統建築が多い、パタン市マンガルバーザール付近延べ1.4キロの街並みを連続撮影。耐震性の危機的状況を捉える。*H19年3/31、市川文化会館研究報告会開催。
【今後の取り組み】
今年度のこれからの計画
- 「課題研究」で各自のテーマ(耐力壁の実験)に基づく論文作成
- 防災展や防災ワークキャンプに積極的に参加 *10/6〜8、神戸市。10/13、東京。
- 10/28(日)、千葉コープ主催「千葉防災塾」の会場(約300名)にて、耐震研究班の関係生徒20名が簡易耐震診断を行い、耐震補強の普及啓発に取り組む。
- 12/15(土)、主催:本校、共催:日大理工学部・(社)千葉県建築士会船橋支部、地域の技術者対象「耐震補強ミニフォーラム」開催(会場:本校視聴覚室)
- H20年1月2年生対象「課題研究報告会」で研究発表。後輩たちへバトンタッチ。続け!耐震診断ボランティア。
次年度の予定(テーマ)
- 一斉簡易耐震診断「町内まるごと耐震診断」の普及を図る
- 高齢者等要援護者に耐震補強の啓発活動
- 全国の専門高校(建築科設置校)に耐震診断学習・建築倫理の普及を図る
- 適切な耐震補強工事の推進のために、専門家の研究会の拡大
- 小中学校等への建築防災教育の普及活動
- 「第5次ネパール技術ボランティア隊」で、前年度の街並み連続写真のデータをもとに、現地住民・現地建築系大学生と本校生徒によるミニフォーラムをパタン市で開催する予定。街の子どもたちを守るための耐震性の向上を訴える。
【特記事項】
- 平成15年7月、文部科学省産業教育振興事業、研究開発指定「目指せスペシャリスト」に採択。平成17年度まで3か年に渡り、特別事業に取り組む。
- 平成19年1月、総務省消防庁主催「第11回防災まちづくり大賞」一般部門、消防庁長官賞受賞。
- 平成19年2月、千葉県教育委員会教育長表彰。
- 平成19年2月、防災教育チャレンジプラン実行委員会・内閣府他「第4回防災教育チャレンジプラン」優秀賞。
優秀賞
■株式会社一条工務店「社会貢献としての「木質耐震シェルター」普及事業」
【取り組み内容】
弊社では、震災時避難用の「木質耐震シェルター」の普及事業を推進している。
「木質耐震シェルター」とは、昭和56年5月以前に建築された木造家屋の1階に設置し、万一地震により家屋が倒壊しても、中に居る人の安全を確保する為の耐震シェルターである。
当事業は、木造注文住宅メーカーの本業としてではなく、あくまで、純粋に社会に貢献するための事業=『震災前にできるボランティア』と考えている為、販売価格も、利益は全く考慮せず(原価以下)、市場価格50万円相当のところ、施工費を含めて25万円(税込)に設定している。
また、既存の住宅に手を加えることなく、工期もわずか2日間で設置可能。
性能については、実物大の2階建木造建物の1階部分にシェルターを設置し、建物を倒壊させた実験結果より、その安全性を実証している。
平成18年2月には、東京都「安価で信頼できる耐震改修工法・装置」に選定される。また、平成19年9月には、東京都渋谷区が「木質耐震シェルター」を全額助成対象に決定し、11月以降、制度運用される予定である。
その他、各種展示会等へも積極的に出展し、普及活動に努めている。
【今後の取り組み】
11月以降、東京都渋谷区にて上記制度の運用開始に伴い、弊社としても、渋谷区と協力し、当シェルターの普及に努める予定。また、現在、東京都渋谷区以外の都内各区や各種団体からも当シェルターや渋谷区における助成制度に関する問合せが増えており、今後、他の市区町村でも、渋谷区同様の制度の導入が予想され、その際には、積極的に対応する予定。
■構造品質保証研究所株式会社「新世代の耐震補強SRF工法」
【取り組み内容】
SRF工法とは
ポリエステル製のベルトやシートを無溶剤接着材で、コンクリート構造物の柱や壁、あるいは木造建築の接合部や軸組などに貼り付けて補強する耐震補強工法です。設計地震レベルでは、鉄筋・金物と同等以上の補強効果があり、補強材の破断に対する安全率が大きく、想定を超える地震を受けても効果を発揮します。
SRF工法の実績とあゆみ
全国各都市の、マンション・木造住宅・事務所ビル・学校・店舗ビル・新幹線高架橋など各種施設で施工した実績があり、工事件数はコンクリートで約250件、柱補強本数は約3000本に、木造は約50件に達しています。
- 2002年11月・・・RC柱補強に関し、(財)日本建築防災協会の技術評価取得
- 2003年2月・・・RC柱1本目施工
- 2004年4月・・・東海道新幹線仕方書に記載され正式補強工法として採用
- 2004年8月・・・木造住宅に適用開始
- 2006年2月・・・東京都の「安価で信頼できる耐震改修工法・装置に選定
- 2007年7月・・・壁補強に関し、(財)日本建築防災協会技の技術評価取得
- 2007年8月・・・RC柱3000本施工達成
SRF工法のメリット
- 工事費は従来の耐震補強工事の約半分
従来工法に比べて使用する材料が少なく、工程も簡単で工期が短く済みます。そのためコストダウンが可能です。RC柱1本の総工事費はおおおよそ40〜70万円、既存壁補強は、1枚当たり約50〜150万円です。 - 文字通り居ながら補強が可能で、環境に優しい工法
粉塵、騒音、振動、臭気がほとんど発生しないので、建物を使用したまま工事ができます。接着剤は1液性の無溶剤タイプでホルムアルデヒトなどの有害物質が発生しません。 - 建物の外観がほとんどかわらない
既存部材を補強して、補強材のわずかな厚み分しか厚くなりません。マンション・ビルなどではピロティの良さを損ねません。 - 狭い場所でも施工できる、簡単な工事
電気、ガス、機材を必要とせず、人力で接着材を塗布し補強材を巻いたり張ったりする内装工事のような工法ですので、狭い場所でも施工できます。 - 各種構造材との相性がいい
コンクリート、鉄、木など一般的に使用される構造材のどれとも相性がよく、特に木造住宅では基礎・土台・柱を一体的に補強できます。
SRF工法の耐震性能と信頼性
- 有名大学、公的機関との各種の共同実験を行い、補強効果が優れていることが実証されています。また2002年に(財)日本建築防災協会の技術評価、2007年に壁等の適用範囲拡大の評価を取得、2004年には東海道新幹線の正式な補強工法として仕方書に記載されるなど高い評価を得ています。
- 補強材の設計歪は、破断歪みに対して、10倍以上の安全率がありますので、想定を超える地震動に対しても安全性を確保できます。
- 各種木造補強に関しては、(財)日本住宅・木材技術センターの耐力評価試験を受けています。
SRF研究会
当社はSRFの特許を保有し、研究開発・設計施工のノウハウの蓄積・技術的課題への対応を主な業務としており、SRF工法の設計、施工、材料製造は、当社からラインセンスを受けたSRF研究会会員企業が実施します。現在、大手設計事務所、大手・中堅ゼネコンを始めとして約250社が会員です。
SRFの普及活動
- 東京都や各自治体、建築士協会などが主催する展示会に積極的に出展しています。建築事務所・ゼネコンなどの専門家から、一般の住宅オーナー・マンション管理組合まで幅広い層を対象にSRF工法の普及・販売促進活動を行っています。
- 主要マスコミへもSRF工法が紹介されています。
【今後の取り組み】
8年に渡った研究開発と実証実験、普及活動の結果、各種の既存壁補強、特に、補強後に、せん断壁・柱となるものにも、補強量に応じて一定の靭性を付与できることが日本建築防災協会の技術評価範囲に加えられ、新幹線から木造住宅まで多数の実績を積み重ねることができました。
今後は、既存の壁・柱補強で、安く、早く、確実に基準を満たす補強実績の拡大に取り組みます。新築への適用に向けて、研究開発と公的機関の評価取得に努め、数百年に一度の大地震には、SRFで耐えることにより、鉄筋やコンクリートの使用量を大幅に削減した新しい構造形式の開発と普及を最終的な目標にしています。
【特記事項】
2007年3月:ひょうご住宅耐震改修工法コンペ 共同住宅部門知事賞(最優秀賞)受賞
■墨田区京島地区まちづくり協議会計画部会及び墨田区耐震補強推進協議会「地域力を耐震・室内安全に活かす活動」及び「地域一丸となって取り組む耐震補強」
1.京島地区まちづくり協議会計画部会
【取り組み内容】
東京都の地域危険度調査の倒壊危険度がワースト1位(京島2丁目)の木造密集市街地のため緊急的な耐震化が必要な京島地区で、地元まちづくり協議会が中心に専門家の協力を得て、木造住宅の耐震化や室内安全対策の普及活動を行った。
活動の特徴としては、地域全体の防災力向上を目指し、より多くの人が親しみやすく楽しい「まちづくり活動」の一環として、地域力(地元大工や家内工業職人の技術力や、下町独特の濃密なコミュニティの団結力)を生かして「こわれないまちづくり」に取り組んだ。
約1300世帯が回答した耐震意向調査により、木造密集市街地独特の耐震のニーズや普及阻害要因について分析し、その結果をもとに、地元の人達が身近に実感できるものとして、耐震落語、耐震モデルハウス、起震台、長屋耐震改修等を企画・実施した。
特に、「耐震モデルハウス」は協議会の自主運営で、4ヶ月の公開期間中、約550名の見学者が訪れ、マスコミでも広く取り上げられて評価を得た。
【今後の取り組み】
地元に根づいた耐震意識・活動を更に広め、危惧されている大地震にそなえた耐震改修や防災対応の普及に、地域ぐるみで取り組んでいく。
具体的には、秋の防災訓練シーズンに町会のイベントに起震台実験を実施したり、婦人部と連携して普及に努めていく。また、H19年7月に約30名で訪問した、新潟県北魚沼郡川口町荒谷集落(中越地震被災地)との防災・復興まちづくり交流を深めていきたい。
【特記事項】
平成18年度 内閣府都市再生モデル調査採択事業
2.墨田区耐震補強推進協議会
【取り組み内容】
耐震改修を住民と行政と建築業界とを連携し地域をあげて、一軒でも多く、一日でも早く、命を守る耐震改修を促進するために下記のような活動を展開しています。
耐震改修の啓蒙、促進活動 ー3つの取り組み
- 町会・自治会との連携
・町会・自治会との連携 町会・自治会に向けて出張説明会開催。
・アンケートの実施と回収 (3町会実施、2町会準備中_各500〜1000 部配布)個別相談等実践。 - 教育との連携
・安田学園高校と連携した耐震診断のフィールドワーク。(毎週月曜日の実習授業に協力。耐震診断と補強の現場実践。)11月の学園祭にて成果発表予定。
・中学生を対象とした家屋の簡易耐震診断マニュアルの作成と生徒が自ら行う家屋の耐震診断等の実施等準備活動。 - 福祉との連携
・福祉現場の方たちと耐震補強の勉強会の実施。
区民に向けて耐震補強推進に向けたイベントの主催・協力
すみだ耐震補強フォーラム2006・2007開催(2008開催予定)毎年の参加200名以上
- 各種イベントに協力参加(すみだまつり、すみだ住宅まつり、消費者生活展、建築ふれあ いフェア、耐震補強フォーラム 他)
自治体との連携
- 自治体の担当課にあたる建築指導課等と情報交換の場を持ち、現場の生の情報を伝え、助成金のあり方などを検討する材料を提供し、意見交換等に参加協力。
- 墨田まちづくり公社主催「住まい何でも相談処(毎月2名)」他に相談員として派遣協力。
報道機関・建築関係団体との連携
- 各種メディア、建築関係各団体のイベントに参加し耐震補強の緊急性をアピールし、実践を呼びかける。また、合わせて問題点を分かち合い解決への一助とする。
耐震改修の研修活動
- 定期的な幹事(年4回)・運営委員会(毎月)開催。その他行事に向け各部会の会合随時。
調査・試行的実践に取り組み
- 墨田区内における耐震補強実施件数を調査
- 耐震改修現場の検査実施
【今後の取り組み】
- 町会・自治会、教育、福祉、の各分野に啓蒙を続け、耐震補強の推進を図る。
地元行政とさらに連携を高め、耐震補強の推進を図ると共に、耐震化の助成金等のあり方についても、活きる助成で成果を上げるための情報交換に努める。特に、簡易補強という地元墨田での独自の助成方式を活かすことが最重要課題。
・町会のアンケート配布を続け、面的な耐震補強を目指す。
・ 安田学園の実践教育活動に協力し、さらに低学年からの教育活動につなげる。:安田学園の安田祭での授業内容活動報告の協力。
・ 福祉団体との協力態勢を広げ、耐震補強に協力を仰ぐ。
・ 地元自治体=墨田区はじめ近隣の自治体とも協力しながら誠実な耐震補強をすすめる。:すみだ耐震補強フォーラム2008の準備と実施。 - 耐震補強推進団体との交流を深め、協力態勢を強化して、各地の補強の実践を盛り上げる。
- 耐震補強関連メーカー等、耐震補強の技術研究をしている企業・団体と情報交換を行う。
- 協議会の情報を平明化するために、ホームページを再開して活動を公開する。
- 木造密集地域での耐震補強推進のため、にわかに進まない耐震補強の問題点(借地借家人、長屋形式、高齢化等)を洗い出して、解決に向けた方策を検討する。
- 勉強会を重ね、情報交換を周知徹底して最新の耐震補強を実践できる態勢を整える。
- 簡易補強等の手法をマニュアル化して技術の標準化と、安価で合理的な補強方法の研究。
■宮城県石巻市広渕町下防災会「中学生と地域で耐震に取り組む防災会」
【取り組み内容】
平成15年7月26日に発生した「宮城県北部連続地震」を教訓に防災会を立ち上げる。
当地区は、276世帯、約800人が在住、そのうち老人世帯が60戸(96人(70歳以上))。地域の相互扶助も目的とし、年500円(1世帯)の防災会費を徴収し活動費にあて、避難弱者をはじめ地域住民の減災のため、安否確認、救護炊出、連絡通信、物資調達、消火救出、廃物処理、救護の各役割分担を決め、消防、地域医療と連携をはかり、毎年7月26日に防災訓練を行っている。
また、防災活動に地域の中学生を活用できるよう、地元中学生の2年生を対象に建築士会等の協力のもと「簡易耐震診断授業」を行い、その生徒をアシスタントとして防災会メンバーに同様の授業を行ったり、地域防災マップの作成等を行っている。
また、その中の専門職(大工、建具工、左官工、板金工、家電等)からなる「多須快人(タスケニン)」と称するグループによる、高齢者宅の家具の転倒防止等のボランティア支援を行っている。
【今後の取り組み】
276戸に対して、防災用具および救出用具が不足しており、それらの充実を計り、また、防災情報を取り込んで、防災訓練内容のレベルアップを目指し、近い将来必ず起きるといわれている「宮城県沖地震」
に備えたい。
年内も、11月16日に地元中学校2年生を対象にした「簡易耐震診断授業」が予定されている。
【特記事項】
活動内容を、たびたび地元新聞やテレビで紹介され、近隣市町村の防災組織立ち上げを目指している地域に、活動内容の紹介等の依頼を受け、会長、副会長が足を運ぶことも十数回におよぶ。
問い合わせ先
※「第1回 日本耐震グランプリ」の応募要領や選考方法などは「第1回日本耐震グランプリ 参加者募集!」をご覧ください。
東京いのちのポータルサイト事務局(担当:寿乃田、鍵屋、小田)
メール:grand-prix@tokyo-portal.info
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿6-7-1エルプリメント新宿209
ファクス:03-5913-7251