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「第4回日本耐震グランプリ」受賞者応募内容


 入賞されたみなさま、おめでとうございます。日頃の素晴らしい活動に心から敬意を表します。

 惜しくも選に漏れましたみなさまには、大変申し訳なく思います。決してその活動レベルが低いということではなく、十分に立派な活動をされてはいるものの僅差で賞を逃したというのが正直な感想です。

  日本耐震グランプリは、来年も継続して実施します。ぜひ、さらに成果をあげられ再度挑戦されますことを心から期待いたします。

選考委員長 首都大学東京教授 中林 一樹


グランプリ


利用者目線の耐震促進と助成制度を行政と共に創る
(社団法人東京都建築士事務所協会足立支部)

【取り組み内容】

 行政がつくる利用しにくい助成制度では実績は上がらない。いかに利用される制度にするかは利用者視点で改善が必要である。足立区と 当支部では平成18 年の耐震助成制度スタート前から協議を重ね、区民にとって利用し易い制度とはどうあるべきかの協議を重ねてきた。

 こ うして生まれたのが足立区方式とも呼ばれる「耐震診断」「補強設計」「概算見積」の3点をセットにして利用者に提示するワンストップサ ービスである。この結果他の自治体と比べても多くの実績を継続的に上げる事ができている。また当支部だけでなく他の建設関連団体も含め、継続的に意見交換の場で改善を続けている。

 こうした結果が耐震補強実績だけでなく、家具転倒防止についても効果を上げた。前年の4件が21年度は310件と爆発的な変化をもたらした。これらの実績は現場の声を行政に届けて、より有効な制度への改善が結びついたものと思う。

<耐震促進事業集計>

耐震助成申請件数
  平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 合計
耐震診断
(木造住宅)
71 202 130 158 58 619
耐震診断
(共同住宅)
10 4 3 9 2 28
改修工事
(木造住宅)
33 89 69 113 39 343
非主要構造部
(家具転倒防止)
6 3 4 310 180 503
合計 120 298 206 590 279 1,493

平成22年8月27日現在

木造住宅の耐震診断後評点
  平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 合計
 <0.7  64 199 124 149 45 581
 0.7<1.0  3 3 1 2 0 9
合計 67 202 125 151 45 590

平成22年8月27日現在

※申請件数との違いは、取り止め・取り下げあるため。また、H21は診断が終わっていない物件があるため。

年度別実績数
  平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 合計
耐震診断
(木造住宅)
68 181 146 134   529
耐震診断
(共同住宅)
5 8 2 6   21
改修工事
(木造住宅)
27 76 83 85   271
改修工事
(共同住宅)
0 1 0 1   2
非主要構造部 6 3 4 309   322
合計 106 269 235 535   1,145

※改修工事:H19の物件はGS、H21は木賃アパート
※非主要構造部:H21の内訳シェルター・ベット各1件づつ家具転倒残り

木造住宅耐震改修工事後評点
  平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年
 <0.7  1 13 12 11   37
 0.7<1.0  4 12 9 4   29
 1.0<1.5  21 49 61 70   201
1.5≦ 1 2 1 0   4
合計 27 76 83 85   271

  

耐震出前相談会実績
  平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年(予定)
開催数 8 21 18 29 38 114
来場者 134 276 162 344 - 916
相談者 54 87 92 106 - 339
合計 196 384 272 479 38 1,369

 

筋違い補強
筋違補強の写真 筋違補強の写真
面材補強
面材補強の写真 面材補強の写真
家具転倒防止
家具転倒防止の写真 家具転倒防止の写真
出前相談会
出前相談会の写真 出前相談会の写真
ケーブルT V による啓発活動
ケーブルT V による啓発活動の写真 ケーブルT V による啓発活動の写真
<特記事項>

 家具転倒防止工事の拡大はセミリタイアの大工さんが活躍する場として新たな地域雇用の場になりつつある。

【今後の取り組み】

 マンパワーの不足している足立の環境では大々的な耐震イベントを開催する事は難しい。今後も様々な機会を捉え、地域に出かけていく出前相談のような草の根の活動は息長く続けたい。

 協議会としてさまざまな建築関係団体をひとつの組織として束ねる事は効果的な反面、それぞれの組織風土の違いや会の維持運営に多大なエネルギーを必要とし、ややもすると疲弊してしまう。足立では今後もそれぞれの組織の持つ強みを持ち寄り、緩やかな連携による新たな“足立区方式”の確立に向けて努力したい。

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優秀賞


安価な耐震改修工法の開発普及(アイワン研究会)

【取り組み内容】

  アイワン研究会はアイワン工法の開発関係者らが実用化を含めた普及とそれを軸とした耐震改修の推進を進める任意組織で、手弁当で活動している。

1.アイワン工法の説明

  代表者平塚が発明したワンサイドボルトを使用して住宅の外から鋼製ブレースで補強する工法。外から短時間で補強可能なため、工事費の大幅な低減が見込まれる。(工事費100万円以下のものもある。)

2. アイワン研究会

 アイワンの実験などによりほぼ実用化のめどが立った平成19年秋に、工法のアイデアを出した平塚、共同研究を実施した名古屋工業大学の井戸田、この工法をてこに住宅の耐震化推進を目指す愛知県職員の川端、建築構造コンサルタントの花井らが実用化を目指して職を離れて打合せをするようになり、実用化後もそれぞれの特色を生かして木造住宅の耐震改修の推進を目指してボランティアで活動している。

3. 工法の供給会社「日本住宅耐震補強株式会社」の設立

 実用化をするためには、工法をセットで供給し品質管理を万全に実施できる体制が必要と考え、建設会社等のパートナーを摸索した。当初大手建設会社に声をかけたがうまく行かず、平成20年夏に株式会社NITTOHに呼びかけたところ、とんとん拍子で話が進み、アイワンの供給と品質管理を主な業務とする専業会社「日本住宅耐震補強株式会社」が設立され、実供給が始まった。

4. 住宅建築物耐震補強モデル事業を活用した半田市岩滑地区でのモデル事業実施

 平成20年12月に、国でモデル的な耐震補強工事に直接補助する事業が創設され、それに加えて、木造住宅の耐震補強に助成する意向のあった特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの裏負担補助も可能になったことから、防災まちづくりを実践する岩滑地区の協力を得て、アイワン工法等を使い安価に実施することに加えて、評点1.0には届かないが入居者の生命を守る簡易改修などを総合的に検証するモデル事業を実施した。

 5件の住宅で実施し、玉石基礎のある古い住宅も含めて、工事費100万円でも評点0.7以上の簡易改修が実施できることを確かめた。この取り組みを契機に安価な耐震改修の取り組みが広がりはじめた。愛知県内で130万円の補助制度がある田原市がこの成果をうけ、自治区や耐震改修推進組織と連携して自己負担ゼロで耐震改修を実施するモデル事業を実施するなど成果の広まりが見られる。

5. モデル事業をアピールする「耐震改修と防災まちづくり展」

 岩滑のモデル事業と岩滑区の防災まちづくりをアピールする目的で名古屋市内の金山総合駅前の名古屋都市センターを会場に2週間、展示会、セミナー、耐震改修相談会を実施した。名古屋市はこのチラシを約1万5千の耐震診断実施者にダイレクトメールした。岩滑地区の自治会からも毎日4名の役員を派遣して同地区の防災まちづくりを映像で案内する取り組みを実施した。

 この取り組みで、名古屋市の耐震改修補助の申込みをしたものが24人と耐震改修に繋がる典型事例の創出となった。現在は、これを参考にした取り組みが広がりつつある。

「耐震改修と防災まちづくり展」チラシ(PDFファイル:663KB)

6.各県へのアイワン工法の普及の取り組み

 アイワン工法を全国に広めることを目的に、平塚が中心になって全国行脚を続けている。大分県、兵庫県、大阪府などでアイワン工法が補助対象工法として認められ、それを使用した耐震改修工事例が出始めている。

7.アイワンの実績

 アイワン工法の使用例は実質的供給の始まった平成21年度から今日に至るまで徐々に拡大してきており、平成22年3月までが49件、4月から8月までで42件合計91件の実績がある。

実績:アイワン施工実績(PDFファイル:58KB)

<特記事項>

日本住宅耐震補強株式会社 http://www.taisinhokyo.com/company/

【今後の取り組み】

1.財団法人日本建築防災協会の評価取得などを持続的に追求

 平成22年6月に、地域木造住宅市場活性化推進事業に建築防災協会の評価の費用を申請したが認められなかった。しかし、静岡県など多くの県で同協会の評価を条件にしているところがあり、今後も何らかの助成を得て評価取得を目指す。

2. 手弁当でアイワンの普及を応援する組織としてアイワンや耐震改修を普及するイベントを企画

 昨年の「耐震改修と防災まちづくり展」で大きな成果があったため、引き続き、イベントの実施を目指す。

3. より多くの県へアイワン工法の普及

 東京都など関東方面へのアイワンの普及について取り組む。

4. アイワン工法と合板の安価工法などを組み合わせた事例の公開

 当研究会の究極の目標は耐震改修の推進なので、アイワンだけでなく、他の補強工法と組み合わせることによって実現したより安価で合理的な改修の事例を収集するとともに、工事例を公開しさらなる普及に取り組む。

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住宅リフォームにおける耐震性向上の促進
(ミサワホームイング株式会社)

【取り組み内容】

(1)所属

 ミサワホーム(株)のリフォーム専門会社「ミサワホームイング(株)」に現在所属。

(2)業務沿革

 平成12年より「木造住宅の耐震診断業務」を開始。平成7年1月に発生した阪神淡路大震災における甚大な被害状況を踏まえ、平成9年にミサワホーム総合研究所内に「耐震診断室」を設置。耐震診断・耐震改修技術の開発を狙いとして研究を重ね、その技術を受け継ぎ、弊社に専任部署を設けて、「現地調査〜診断判定〜補強設計〜補強工事監修」までを内製化した。以来、グループ会社の合併等により、社名は「ホームイング(株)」→「ミサワホームイング東京(株)」→「ミサワホームイング(株)」に変わるが、一貫して耐震業務を継続している。

(3)理念

  「安全・快適で環境を重視した家づくり、街づくりを行う」というグループ経営理念の下、愛着あるお住まいに大きな安心をお届けす る事・次世代に安心して引き継がれる家である事を目指している。

(4)実績・重視している点

 連番で管理している耐震診断件数は約1,500件(営業部門を含めれば約1,800件)。平均すると年間150件程度を診断してきた。耐震診断が絡むリフォーム受注は近年約100〜140件で推移している。現在専門スタッフ4名、各拠点営業部の数名による耐震技術者でサポートを行っている。上記1,500件の診断から耐震補強(評点1.0を超えるもの)に至った件数は約700件。評点1.0に届かないものの耐震性を高めた案件、部分的補強の案件を含めると約900件を超えた実績となった。耐震診断実績に対して、およそ60%の補強実施率となっている。

 民間のリフォーム会社である立場上、お客様とトータル的なリフォーム相談から始まるので、デザイン提案(快適性向上・意匠性向上)と耐震補強の複合的な工事に至るところが、補強実施率に大きく影響していると思われる。単に耐震補強でなく、デザインリフォームも考慮しなければ、お客様は納得していただけないのが現実だと実感している。

 また、耐震診断・補強設計の信頼性という点では、横浜市・町田市杉並区その他の自治体の補助金案件も年間20件程度扱っている。そこから得られる情報や技術的指導も重要で、各自治体の耐震診断窓口との連携なしには技術的な進歩もなかったと言える。我々スタッフも東京都の耐震診断員の資格を持って、都の耐震事務所として登録している。

実績:耐震診断及び耐震補強工事(PDFファイル:41KB)

<特記事項>
  1. 使用している耐震診断ソフトについて
    【(株)構造システム社:HOUSE−DOC】
  2. 耐震診断結果の記載について
      日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づ く「耐震診断基準」により、総合的な評点で評価している。また、 日本建築防災協会の診断基準が近々改定されるようなので、その際 には情報をしっかり収集してスピーディーに対応したい。
  3. ミサワホームイング(株)のHP
      http://www.misawa-homeing.co.jp/
  4. ミサワホームイング(株)の「耐震診断」のご案内
      http://www.misawa-homeing.co.jp/campaign/taishin/index.html

【今後の取り組み】

 この4月よりグループ統合の結果、ミサワホームイング(株)は埼玉、千葉、茨城、群馬地域も営業範囲となった。営業の最前線にいる営業担当RE(弊社ではリフォームエンジニアと呼んでいる)は、まだ耐震に対して十分な知識経験が不足している場合もあるが、グループ経営理念に沿った「安全・快適で環境を重視した家づくり」や「ストック住宅の付加価値向上(安全・快適・意匠)」を念頭に若手を育成し、営業活動を行っている。

 リフォーム事業は、「過去すべての時代の住宅」同時に「すべて邸別に異なる設計」という広範囲な建物に向き合わなければならない宿命を抱えている以上、経験ある建築技術者は次世代の者を指導していく義務と責任があると思う。根気がいる仕事ではあるが、一件一件着実に知識経験の輪を広げ、リフォームされるお客様が後で後悔されない様な提案ができる会社にしたい。

 今後、今まで以上に各自治体の補助金事業にも積極的に協力し「ミサワホーム(ミサワホームイング)ならば安心」と思っていただける実績を地道に積み上げていきたい。

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選考委員特別賞

ガラスパワーキャンペーン(旭硝子株式会社)

防災ガラスの写真【取り組み内容】

 旭硝子株式会社(社長:石村和彦)は、災害時に窓ガラス破損による被害を減らすため、防災ガラスの普及を促進する「ガラスパワーキャンペーン」を2005年10月に開始しました。以来約5年間活動をし続け、窓を中心とした建物の防災対策の意識向上にも努めています。

◆防災ガラスとは:

防災ガラスの写真 防災ガラスとは、2枚のガラスの間に強靭なプラスチックの中間膜を圧着した合わせガラスです。最大の特徴は、地震や台風などの災害時に、強い衝撃 や強風で万一破損してもガラスが割れ落ちにくいという点です。

 普通の一枚ガラスは、割れると破片が鋭利な刃物のようになり、まわりに飛び散るため、特に災害のときは二次被害につながる可能性があり危険です。

 しかし防災ガラスは、破損しても窓からほとんど落ちないため、ケガを防ぐことができます。また、窓に穴が 開く心配もないので、災害時の厳しい雨風から室内を守る効果もあります。

◆プロジェクト立ち上げの経緯:

 これまでの巨大地震の事例では、破損した窓ガラスによる被害が多数あります。地域の指定避難場所でさえ、窓ガラスが割れたために使用できない、または、余震の影響でガラスが割れるのではないかという恐怖を背負って一定期間を過ごさなければならない地域もありました。私たちはガラスメーカーという立場から、社会的責任のひとつとして、災害時でも安全で安心な防災ガラスの普及活動を始めました。

◎防災ガラスの特徴

 防災ガラスは、2枚のガラスの間に強靭なプラスチックの中間膜が圧着されている合わせガラスです。(自動車のフロントガラスと同様)

<特徴>
・強い衝撃で万一破損しても、ガラスが窓枠から割れ落ちたり 鋭い破片が飛び散ったりしない
・窓に穴が開く心配もなく、災害時に雨風から室内を守る効果もある
◆主な活動:
  • 全国の指定避難場所を対象とした防災ガラスの寄贈プロジェクト
  • 小中学校でのガラスの出張授業
  • 防災ガラス破壊実験サービス
[ 防災ガラスの寄贈プロジェクト ]

 全国の指定避難場所に防災ガラスを寄贈するプロジェクトです。これまでに22件の指定避難場所の窓ガラスを防災ガラスに改修しました。

<贈先選定方法>
 WEBサイトを使用し、一般閲覧者(無料会員)のクリック応募や意見募集を行い、選定委員会(社外有識者を含めた構成)により選定。
<寄贈>
 選定された避難場所の窓ガラス全てを、施工込みで防災ガラスに交換
<寄贈先実績>
  全22件(内、小学校17件、中学校3件、高校1件 他1件)
[ 小中学校でのガラスの出張授業 ]

 AGC社員が講師となって全国の小中学校を訪問し、防災ガラスの必要性や環境に優しい窓ガラス等、窓にできる防災と同時に、地球温暖化防止対策についても考える場を提供しています。

<実績>
全25校
[ 防災ガラス破壊実験実演サービス ]

 防災ガラスの性能や普通のガラスとの違いを、実際に割ってみることで体感してもらう実演サービス。防災意識の啓蒙活動の一環として、自治体主催の研修会、地域で開く防災イベントや勉強会などに参加しています。

<実績>
 全29回実施

  その他、ホームページ運営や取材活動等 ホームページには、活動記録の他、被災者の体験談や、防災啓蒙活動を展開している方をはじめとした有識者へのインタビュー等を掲載しています。 (HP: https://www.glasspower.jp/)

資料:ガラスパワーキャンペーン活動事例(PDFファイル:437KB)

【今後の取り組み】

 本年度は、防災はもちろん、エコもセットで考えた窓の普及を強化します。建物の耐震・防災対策が日常忘れられやすいことから、窓の「防災エコ対策」は、平常時には「防犯エコ」にもなり有効であることを強調し、普及を促します。

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MBS貯水槽(多目的防災水槽)
(株式会社IHIインフラシステム・物林株式会社)

【取り組み内容】

 近年、局地的な集中豪雨やヒートアイランド現象に伴うゲリラ豪雨による水害が頻発しており、都市部を中心に雨水の流出を抑制する施設の建設が促進されています。この施設の建設に貢献しているのがプラスチック製ブロックを構造体とした雨水貯留・浸透槽で、ここ十数年で施工実績が急増して昨年度は410,000立方メートルに達し、国内全建設量の8割を占めています。

 プラスチック製雨水貯留・浸透槽が安価かつ短期施工で建設される点に着目し、貯水槽に発展させることを目的に開発したのがMBS貯水槽です。

 いまだに記憶に新しい阪神大震災では3割強の防火水槽が損壊または漏水して消火活動に支障をきたして二次災害を拡大したこと、そして、夏場に起きた中越沖地震では飲料水以外の生活用水が不足し、被災者に長期間の苦渋生活を強いたことが報じられています。

  地震国日本では地震による被災は必定の事象であり、防災と減災の観点から、地震に伴う火災の消化用水とライフラインが復旧するまでの生活用水の確保は欠かせない要件だと考えたのが開発のきっかけです。

 最大の開発目的は『いかなる不慮の事象に際しても、“命の水”を一滴も漏らさない』としました。

 MBS貯水槽はプラスチック製ブロックとブロック群を包む遮水シートで構成される雨水貯留槽を更にロールフォーミング鋼材で形成する鋼枠で囲み、遮水シートの破断・穿孔の危惧を確実に排除することができます。鋼材の主体は1.6oの薄板鋼板で、組み立てはすべて人力で施工することができます。

 MBS貯水槽がプラスチック製雨水貯留・浸透槽が持つ安価で短期施工が可能な特徴を活かし、地震に対する変形性能の機能を失わずに治水と利水に寄与できることが認められ、(社)雨水貯留浸透技術協会から「技術評価認定書」を受領することができました。

  地下埋設型貯水槽であるMBS貯水槽の特徴は以下の4点に集約できます。

  • 従来のコンクリート製貯水槽よりも安価で短期施工の建設を可能にします
  • 大規模地震時にも、プラスチック製ブロックと遮水シートが有する変形性能を阻害しません
  • 40立方メートル規模の貯水槽は工場で製作した製品全体を搬送し、一括設置することで、現地での施工期間を劇的に短縮できます
  • 雨水貯留・浸透槽は軽量であるがために地下水による浮力対策が難点になりますが、鋼枠の剛性を活用して、浮き上り防止装置を設置することができます

 開発後3年を経過しましたが、関連機関への認知活動が進まないことと既存施設物との競合の影響もあり、埋設実績は現在まで以下の3件に止まっています。

  1. 2007年12月、自社工場の防火用貯水槽として埋設(23立方メートル)。千葉工場から堺工場まで製品を搬送し、現地での一括設置に要した時間は約20分
  2. 2008年8月、学芸大付属世田谷小学校に防災教育および芝生灌水用施設として一括設置で埋設(23立方メートル)。地下水位が地表1mのため、浮き上がり防止装置を設置
  3. 2010年10月(予定)、新潟県見附市に防火水槽として埋設(40立方メートル)。現地搬入路からの制約により、現地組み立てとする。また、設計地下水位が地表0mのため、浮き上がり防止装置を設置

【今後の取り組み】

 大規模地震時に備える防災・減災への国民的な認識や意識の高まりを待つだけではなく、平時における灌水・散水・洗車などの利用価値をあげる機能の開発と認知度向上に努めていきます。

 認知度向上の一方策として、ローテク施工が可能なことを利用し、5立方メートル未満の貯水槽をカーポートの地下に埋設する“家族で貯水槽を造ってみよう!”等の事例紹介を展開し、防災に対する自助認識の広がりに寄与したい。

 東京大学生産技術研究所に主催して戴いている研究会「防災ビジネスの創造と育成」を介して本貯水槽を真に必要とする地域や団体の特定化を進め、防災・減災の一助になるべく邁進してまいります。

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※「第4回日本耐震グランプリ」の応募要領や選考方法などは「第4回日本耐震グランプリ参加者募集!」をご覧ください。


「第4回日本耐震グランプリ」表彰式

 2010年11月11日(木曜日)に、「第4回日本耐震グランプリ ―「まち場」から進める耐震化・家具固定(第12回都市防災推進セミナー)」で行いました。

 このセミナーでは、表彰式のほかに、有識者によるシンポジウムを実施しました。

  詳しくは、「第4回日本耐震グランプリ ―「まち場」から進める耐震化・家具固定(第12回都市防災推進セミナー)」をご覧ください。

応募先・問い合わせ先

 東京いのちのポータルサイト事務局(担当:寿乃田、鍵屋、小田)
 お問い合わせ:耐震グランプリに関するお問い合わせフォーム
 所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿6-7-1エルプリメント新宿209
 電話番号:080-5544-1500 / ファクス:03-5913-7251

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